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『トランスフォーマー/ONE』(9月20日公開)


 ロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星の地下都市。変形能力を持たない労働ロボットのオプティマスプライム(オライオンパックス/声:クリス・ヘムズワース)とメガトロン(D-16/声:ブライアン・タイリー・ヘンリー)は固い友情で結ばれ、いつの日かヒーローになることを夢見ていた。


 ある日、謎のSOSメッセージを発見した2人は、仲間のバンブルビー(B-127/声:キーガン=マイケル・キー)やエリータ-1(声:スカーレット・ヨハンソン)と共に、侵入を禁止されている地上世界へ向かう。


 そこで恐ろしい陰謀の存在を知った彼らは、新たに授かった変形能力を使って危機に立ち向かうが、オプティマスプライムとメガトロンとの間に対立が生じる。


 「トランスフォーマー」シリーズの始まりの物語を3DCGで描くアクションエンターテインメント。トランスフォーマーたちの故郷であるサイバトロン星で繰り広げられる戦いを背景に、若き日の彼らの友情とトランスフォーム(変形)能力の起源を描く。監督は『トイ・ストーリー4』(19)のジョシュ・クーリー。


 これまでの「トランスフォーマー」シリーズは、彼らと人間との関りが描かれてきたが、この映画には人間は一切登場しない。あくまでもトランスフォーマーたちの視点で描かれるところが目新しい。


 オプティマスプライムとメガトロンの関係は、旧約聖書に登場する対立する兄弟カインとアベルにならい、彼らが子どもだった頃にめぐり会わせて、「トランスフォーマー」シリーズで『スタンド・バイ・ミー』(86)をやってみるというコンセプトだったらしい。


 また、一見、最新の3DCGによるメカニックな絵に見えるが、地下都市は、アール・デコと大恐慌後の1930年代の豪華さを参考にし、そこに80年代のテクノロジーを取り入れた建築物を入れ込んだのだという。それ故、どこか懐かしさを感じさせるような雰囲気が漂うのだ。


 加えて、『十戒』(56)『ベン・ハー』(59)『スパルタカス』(60)『アラビアのロレンス』(62)などの史劇映画からも大きなインスピレーションを得たという。その点で、温故知新ともいえる映画になっているのも見どころだ。

『あの人が消えた』(9月20日公開)


 配達員の丸子夢久郎(高橋文哉)は、「次々と人が消える」とうわさされるいわくつきのマンションに毎日のように荷物を配達するうちに、怪しげな住人たち(北香那、坂井真紀、袴田吉彦、染谷将太…)の秘密を知ってしまう。


 小説家を目指す職場の先輩・荒川(田中圭)に相談し、彼の意見を聞きながら住人の正体を探ろうとする丸子だったが、いつしか2人は思いがけない事件に巻き込まれていく。


 水野格が監督・脚本を担当したオリジナルのミステリー映画。伏線を張りめぐらせた予測不能な展開で描く。何度も転調し、果たしてこれはホラーなのか、犯罪物なのか、心理ミステリーなのか、コメディーなのかと見る者を幻惑する。


 実はこの映画は、いろいろな過去の映画からインスピレーションを得ているのだが、その映画のタイトルも含めてネタバレになるので肝心なことは書けない。


マンションの住人の一人であるウェブ小説家の小宮を演じた北香那にインタビューをした際も、聞く方も答える方もネタバレを意識し過ぎて妙な会話になり、笑い話のようになってしまった。


(田中雄二)