(左から)シェイン・コスギ監督、浅野寛介、ケイン・コスギ(C)エンタメOVO
ハリウッドに忍者ブームを巻き起こしたショー・コスギの息子で、ケイン・コスギを兄に持つシェイン・コスギが長編初監督を務め、滅びたとされる忍者をテーマに描いたアクション映画『四十九-SEEK』が、7月31日から公開される。本作で主演・プロデュースを務めた中国武術世界王者の浅野寛介とケイン・コスギ、シェイン・コスギ監督に話を聞いた。
-まず映画化の経緯から伺います。
シェイン コロナの時期に、(浅野)寛介と一緒に短編を作ったのがきっかけです。僕も兄も寛介も、ずっとアクションで育ってきたので、もっと世界中に日本のアクションを広めたいと思いました。だからアクション映画を日本で作って、海外で広めるためにはどうすればいいのかをディスカッションしました。
浅野 最初は配信でプラットホームを出していこうと話していたんですけど、そうするとスタッフを含めてみんなが食べていけない。だとすれば、お金を集めてしっかりとしたものを作って世に広めていく方がいいという話をしていたら、シェインさんが「海外を視野に入れて、分母は海外がいいんじゃないか」と。それなら確かに広がるし、作り続けられると思って映画にしました。
-現代の忍者という設定は、かつてニンジャ映画で活躍したお父さんのショー・コスギさんへのオマージュというか、彼を意識した部分もあったのでしょうか。
シェイン はい。当然僕らのルーツでもあるし、お父さんの作ったニンジャ映画へのリスペクトとして出したいと思いました。寛介とも話したのですが、今までにアクションの道を作ってくださった偉大な方たちへのリスペクトが感じられるような映画にしたいと思いました。だから、よりリアルなアクションシーンを作って、世界レベルのものになればいいと考えました。
-早撮りやワイヤやCGを使ったアクションではなく、生身のアクションを懐かしく感じましたが、海外で受けているのはそのあたりが大きいのでしょうか。
シェイン そうですね。それぞれの国によって反響は違いますが、やっぱりこのレベルのアクションは世界中を見てもそうはないと思います。素のアクション、ハンドアクションも刀のアクションも、海外でもまねをしたくなるようなレベルなので、そこが一番の魅力だと思います。今はワイヤやCGを絡めて作るものが多いので珍しいと思います。
-今回特にこだわったところはありましたか。
ケイン 本作の見どころは、ワンカットの長いアクションシーンだと思います。トニー・ジャーの『マッハ!!!!!!!!』(04)という映画で5分間のアクションシーンがありましたが、ああいうのは珍しいんです。その意味でも、今回は本当にすごい。長回しのカットがすごくよくて、見ていてちゃんとやっているのが分かります。普通はなかなかできませんが、寛介さんと(アクション監督兼任の)石井(靖見)さんが一流のプロなので。そこが本作の一番の見どころだと思います。
シェイン こだわったのは長回しですが、それはアクションをやっている人たちにとってはロマンなんです。実際は1分、2分でもしんどいのですが、世界中が驚くぐらいの時間が欲しいんです。寛介もお兄ちゃんも石井ちゃんも「さすがに10分は無理だけど、5分ならできる?」などと話していました。やっぱりプロにしか出せないリアル感や迫力を見せたいんです。
浅野 見せる部分に関しては、誇張し過ぎるとよくないのですが、一番の正解は見え方になるので、歌舞伎でいう見えを切る感じの方がリアルに見えます。ただ、相手に気持ちを向けずにカメラだけを意識するとそれはうそになるので、そこはお互いの気持ちが大きいのかなと思います。うまい下手ではなく、いいと感じさせるのがリアルなのかなと。本気でやっている人にしか出せないエネルギーがあります。ケインさんはリハーサルとはエネルギーの出し方が違うんです。怖いぐらいに。でもそれでオーケーなんです。ワンテイクで終わらせる。本当に見せるうそと本物とは表裏一体で、それが円になって人に届くと、心地よく感じられるのかなと思いました。
-シェインさん、お兄さんのケインさんを演出した気持ちはいかがでしたか。
とてもやりやすかったです。常にこちらが出してほしいと思う以上のものを出してくれるので、期待感が高まりました。寛介もそうですが、自由にやってほしいと思っていたので、その点では皆さん言うことなしでした。
-では、ケインさんは、弟さんの初監督作に出た感想は。
本当に人生の一番の思い出になったし、誇りですね。僕は6歳で映画デビューをして、アクション俳優を目指してきましたが、まさか弟の作品に出るとは思っていなかったので。撮影時間は短かったのですが、毎日が楽しくて、昔よく一緒に遊んでいた時のことを思い出しながらやっていました。弟から「今度監督をする」と聞いた時は、出たいと思いましたが言えませんでした。でも本当にいい役を頂けて光栄だったし、ずっと役者をやってきて、トップスリーに入るぐらいのうれしさがありました。とてもいい思い出になりました。
-浅野さんもケインさんも武道を習って、そこから俳優になった。例えば、ブルース・リーがジークンドー、スティーブン・セガールが合気道を生かしながら映画の中でアクションやっていると思いますが、武道とアクションとの関係性についてはどう思いますか。
浅野 僕はアクション=芝居だと思っています。その使い方の応酬が会話だと思っていて、それが芝居になっていくんです。僕はアクションの基礎が武術なので、精通している人はすぐに分かります。今回ケインさんとやった時がそうでした。すぐに分かり合える。結局は人となりが出ると思っています。
ケイン 本当にその通りだと思います。中国や韓国でも仕事をしたことがありますが、言葉が通じなくても、監督やチームが何を欲しがっているのかは、アクションを通してすぐに分かります。僕は子どもの時から父親と空手をやって、そこからテコンドーとカンフーもやりました。でも、やっぱり自分のスタイルを探さなければなりません。ブルース・リーやジャッキー・チェンには彼らのスタイルがあります。人のまねをするではなく、いろんなことを学んで自分に合っているものを見付けて、自分のスタイルを作らなければなりません。僕もそれをずっと探し続けていますし、練習もしています。
-今回、意識したり目標にした映画や俳優はありましたか。
シェイン いっぱいあり過ぎます。お父さんもそうだし、千葉真一さんもそうだし、倉田保昭さんもそう。一人選ぶことなんてできません。皆さんそれぞれにいいところがたくさんあるので。
-最後に、観客や読者の方に向けて一言ずつお願いします。
浅野 アクションが満載なので、それを大画面で見た時に、感じるものは大きいと思います。映画の良さが詰まった作品ですし、何よりもシェインさんだからこそ出せた色というのは、小さな頃から一緒にいますが、今回改めて気付いたこともたくさんありました。そういう部分がお客さんに届くことが、映画館で体験してもらえることが一番なので、ぜひ足を運んでもらいたいです。
ケイン アクションも見どころだし、弟が監督でお兄ちゃんが出ている映画はなかなかないので、そこも楽しんで見てほしいです。
シェイン 本当に素晴らしいキャストに恵まれました。寛介やお兄ちゃんはもちろん、三浦(誠己)さんや菜葉菜さんや、たくさんの人が支えてくれた作品だし、日本のアクションを超えた、世界のアクションをぜひ映画館で体験してほしいです。日常生活を忘れて、その時間を楽しんで、満足して帰っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
(取材・文・写真/田中雄二)






