法律的な見方にもとづきいくつかの事例を考えてみる
個別的ないし包括的に許諾を得ている場合は著作権法の違反とはならないが、許諾を得なければ、「公衆送信権」「送信可能化権」を侵害してしまう動画配信。では動画の内容によって、法的ラインはどう変わるのだろうか。著作権を侵害しないようにするためにどうすべきか、聞いてみた。
<ケース1> カラオケの音源を元に「歌ってみた」動画を配信
音源を流しているという部分から、著作権にふれる可能性は多少みられますが、単純にカラオケで歌っている姿を配信しているだけというのであれば、適法だと解釈できると思います。
一般的にカラオケ店は、店舗の利用料金へ著作権に関わる使用料が加算されているので、あくまでも『個人が歌っている』のみならば問題はないと考えられます。ただし、オリジナル楽曲そのものを流してしまえば財産権としての著作権に関わりますし、歌を途中で編集して配信した場合には、著作者人格権に関わるかもしれません。
<ケース2> 楽器を使用した弾き語り
まず、作曲そのものについて振り返っていきますが、ドレミファソ……などの『音符を羅列』した作業により生み出されたのが楽曲と定義づけられますね。例えば、本来はピアノで構成されたものをギターで弾いたとしても、生み出されたモノ自体は変わらないので法律にふれる可能性はありうると思います。
また、楽曲を改変してアレンジした場合には編曲とみなされ、『翻案権』の侵害に当てはまる場合もあります。ちなみに、打ち込みでの楽曲作りや音源のサンプリングについては、原曲を想起できるかどうかで判断が分かれます。
<ケース3> アカペラで歌う
少なくとも、作詞の部分にはふれると思います。音源が流れていないぶん、作曲の部分に引っかかっているというのは判断しづらいですね。また、少し変わった事例とはなりますが、アカペラで歌詞を引用してメロディをアレンジした場合も同様です。
<ケース4>音源を流しながらまったく異なる歌詞で歌う
音源を流しているので、作曲の部分が著作権にふれる可能性はあります。ただ、内容にもよると思いますが、歌詞が一字一句ちがう場合は作曲の部分のみかかる可能性はありますし、先ほどの弾き語りの事例とも重なりますが、原曲をどれほど想起できるかで解釈は分かれます。