「だって美味しいもの作れるんだったら作ったほうがいいでしょ」
最後に少し気になっていたことをきいてみた。というのも、ラーメン二郎やインスパイア系は、トッピングの種類や汁なし、つけ麺の有無など店によって多少違いはあるものの、ラーメンの大小、豚の量3段階というシンプルなラインアップが基本である。
もちろん豚星。も基本的にはそうである。しかし「豚星。」は、上記メニューに加え辛麺、禁断の果実またの名を「さのちゃんラーメン」、さらに6月までの「塩」「味噌」、夏期限定の「冷やし中華」、あまりの人気に作り続けることができず、もはやTwitterをフォローしてないとなかなか巡り会えない突発的限定メニューとなった「台湾混蕎麦」などさまざまな限定ラーメンが提供され、それぞれ進化し続け、日々新しいラーメンが生まれてもいる。
なぜこんなにたくさんの種類を出しているのか。
「だって美味しいもの作れるんだったら作ったほうがいいでしょ」大塚さんは即答した。愚問であった。
食事を終えて
数奇な星の巡り合わせで緊急召集され、思いがけず「豚星。」に来店することになり、さらに思いがけずユン・ピョウのポジションを任され、「小ラーメン」「冷やし中華」「辛麺」「禁断の果実」と4種類の山の頂きを目指すこととなった。
非常に厳しい闘いを終えたいまは「麺類はもう一生、フォーでいい」という気分である。ただし、これが一過性のものであることもまた知っている。
しばらくたったある日、街を歩いていてふと鼻をくすぐるスープと小麦粉の匂いが、また山登りの時期が来たことを知らせてくれるからである。ただ、どうあがいても擂り鉢で完食できる勇者になる日が来ることはないだろう。
―終わり―
豚星。
住所/横浜市神奈川区六角橋2-10-1
電話/非公開
営業時間/11:00~24:00
定休日/日曜