「カレーライス物価指数」調査(2024年9月)
株式会社帝国データバンクは、生鮮食品などの値上げを加味した食卓への影響度を示す「カレーライス物価指数」を独自に試算し分析を行った。
総務省「小売物価統計」から、カレーライスの具材となるじゃがいもなどの材料や、電気・ガス代など水道光熱費の全国平均価格を基に、それぞれの分量や各調理工程の分あたりエネルギー使用量を配分し、算出した。
<調査結果(要旨)>
- 「カレーライス物価」1食364円、最高値更新続く 「ライス」が130円突破
- 10月のカレーライス物価、1食380円到達予想 コメ価格急騰が大幅に押し上げる
[注]カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指標
各種価格データは「小売物価統計調査(総務省)」のうち各都市平均値(全国平均)、2024年9月確定分まで
カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移。なお、前年同月比の計算式は下記に準ずる
(計算式)([当月の指数]-[前年同月の指数])/[前年同月の指数]×100
カレーライスの材料・エネルギーの定義は下記の通り。調理シーンは「6食分(市販のカレールー1/2パック)をまとめて調理した」ものとした
【原材料】 ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ(コシヒカリ、1食:200g換算)カレールー(市販)、食用油
【エネルギー】 電気(炊飯器での調理、約7合分の炊飯+6時間の保温を加味した)、ガス(強火・中火・弱火の各調理手順)、水道水(上水道分のみ、下水道使用料は除く。食材・食器類の洗浄にかかる水量は考慮していない)
調査機関:株式会社帝国データバンク
家庭の食卓で人気のメニュー「カレーライス」の調理費用で、過去最高値を更新する値上がり局面が続いている。カレーの調理に必要な原材料や光熱費等の価格(全国平均)を基に算出した、カレーライス1食当たりのトータルコストを示す「カレーライス物価」は、2024年9月に364円となった。360円を突破したのは過去10年で初めてで、6カ月連続で最高値を更新した。1年前の2023年9月(307円)から57円の大幅上昇を記録し、物価高の影響が深刻化している。野菜を中心とした「カレー具材」の価格が落ち着きつつある一方で、コメ価格高騰の影響を受けた「ライス」が1食131円と記録的高値を更新したことが、カレーライス物価の上昇に強く作用した。
「カレーライス物価」1食364円、最高値更新続く 「ライス」が130円突破
カレーライス物価を構成する費用の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約6割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月から16円増の205円だった。輸入牛肉の価格は円安を背景に上昇が続いたものの、ジャガイモなど野菜類の価格が年内のピーク時から下落基調で推移し、2カ月連続で前月を下回った。他方で、「ごはん(ライス)」価格は131円と前年同月(90円)から41円の大幅増だった。炊飯器での炊飯やガス調理などの「水道光熱費」(3円→4円)は1円増、「カレールー」(25円、変化なし)は価格の変動がなかった。
カレーライス物価を基に、2020年平均を100とした独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2024年9月の指数は133.1となり、5年間で3割を超える上昇率となった。同指数の前年同月比では18.8%上昇し、16カ月連続のプラスとなった。
10月のカレーライス物価、1食380円到達予想 コメ価格急騰が大幅に押し上げる
東京都区部の物価動向を基に予想した10月のカレーライス物価は、1食380円に到達する可能性がある。野菜類では、ジャガイモ(バレイショ)などで値下がり傾向が見られ、「カレー具材」が6カ月ぶりに1食200円を下回る可能性がある。他方で、足元では2024年産米を中心に店頭価格ベースで前年比3~5割高となる大幅な価格高騰がみられ、野菜類の値下げ効果を上回る価格上昇圧力がかかる見通し。なお、コメ5kg価格が全国平均で4200円台に到達した場合、カレーライス物価は過去10年で初となる1食400円台まで上昇する可能性がある。カレーライス物価は、当面の間、例年に比べて大幅な高値圏での推移が予想される。
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