伊藤清役の古畑星夏

 高校時代に律(佐藤健)と出会い、上京後に大学のキャンパスで運命の再会をして急速に接近する美少女・伊藤清(さや)を演じる古畑星夏。第3週で、清楚(せいそ)なマドンナとして登場した清だが、その実態は“昼ドラ”を思わせるようなドロドロ系!? そんな清を演じる心境や、朝ドラに対する思い、撮影時の裏エピソードなどを、はつらつとした表情で、ざっくばらんに語ってくれた。

-朝ドラ初出演の感想は?

 これまでに何回も朝ドラオーディションを受けていて、今回も最初は駄目だと思っていたので、合格の連絡をもらったときはうれしかったです。おばあちゃんが朝ドラが大好きで毎朝見ているので、おばあちゃんを喜ばせられたこともうれしかったです。

-清役と知ったときの気持ちは?

 みんなをとりこにする、弓道が上手なマドンナと知ったときは、難しい役だなと思ったし、律くんと再会した後は豹変すると聞いて、マジか、すごい女性だな…。緩急がすご過ぎてできるかな?と不安になりました。

-ご自身との共通点は見つけられましたか。

 清が律くんに一目ぼれするように、この人いいな。これいいかも!と思うことは結構あるので、そういう、ビビッと感じるところは似ています。

-弓道は初体験ですか。

 はい。小さい頃に合気道をやっていたので道着は着たことがあったけど、はかまをはいたことがなくて憧れていたし、立ち姿がすてきなので経験できることはうれしかったです。でも、シンプルに見えるけど、弓の持ち方や立ち方が複雑で難しくて、筋肉痛になるし、弓は全然飛ばないし、練習に行くのが少し嫌になりました(笑)。最終的には良く撮ってもらえて、精神も鍛えられ、着替えから自分一人でやることで清にナチュラルに入り込めたので、やってよかったです。

-印象的なシーンはありますか。

 律くんが原因で鈴愛(永野芽郁)ちゃんと言い合いするところは、みんなで話し合いながらの撮影で、一番大変というか、精神的につらかったです。楽しかったのは弓道のシーンや、律くんといい感じに仲良くなっていく頃のシーンです。

-永野さんの印象はいかがですか。

 芽郁ちゃんとはファッション誌『Seventeen』で一緒にモデルをしていたので、少し天然で、天真らんまんなことは知っていたけど、初めて一緒にお芝居をして、すぐに芝居のスイッチを入れられるところはすごいと思いました。カット割りをして撮っているので、本番を繰り返す度に感情を入れなければいけないけど、それが完璧にできているので見習いたいです。

-佐藤さんはいかがでしょうか。

 佐藤さんはクールに見えるけどギャップがあってチャーミング。喫茶店でコーヒーを飲むシーンで、苦手なコーヒーを我慢して飲んでいたら、佐藤さんから「スタッフさんに言えばいいのに。俺の飲んでみな」って飲んでみたら、まさかのジュース!「俺、飲めないの」と言っていました(笑)。それから、お芝居がナチュラルで、雰囲気を作るのが上手なので、私も心地いい中で演じさせてもらえて感謝しています。

-北川悦吏子さんの脚本についてはいかがですか。

 実際に言ったらちょっと恥ずかしい、照れくさいせりふが北川さんっぽくて、それをナチュラルに言えちゃう佐藤さんがすごいです(笑)。監督からは「もうちょっとウズウズさせて」とか言われたので、せりふの間や距離感などのアドバイスをもらいながら挑戦しました。小学生のときに見ていた、柴咲コウさん主演の「オレンジデイズ」が好きでした!この作品は「ザ・北川ワールド」だなと思います。

-朝ドラ初出演ですが、このようなインタビュー中にもとても明るく、まったく物おじしていませんね。

 こういう場所は大丈夫ですけど、現場はベテランの方ばかりで、すごく緊張します。電車に乗って、渋谷駅からNHKまで歩いているときは、緊張のあまり少し憂鬱(ゆううつ)になるときもあります。近くに、ずんだシェイクのお店があって、帰りに飲むことが楽しみで、それでリフレッシュしています。撮影前はそこまでではなかったけど、入ってから追い詰められています。ファーストシーンは弓道シーンで、せりふも少なかったから、あまり緊張しなかったけど、律くんとの出会いのシーンはせりふが難しくて、しかも相手が佐藤健さんだからすごく緊張しました。

-最後に、視聴者に見どころとメッセージをお願いします。

 初め、清はすてきな女性だと思っていたけど、昼ドラみたいにドロドロしてきて、今までの朝ドラをくつがえすような、いい意味で面白い役です。やるからには頑張って面白くさせようと演じているので、新しい朝ドラ感覚で楽しんでください。

(取材・文/錦怜那)