さわれる作品や参加型プログラム多数、他者の多様な「感覚」にふれる展覧会


展覧会ビジュアル デザイン:芝野健太、アートワーク:カワイハルナ

 東京都渋谷公園通りギャラリーでは、2025年2月15日(土)から5月11日(日)まで、「今村遼佑×光島貴之 感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト 〈感覚の点P〉展」を開催いたします。
 タイトルの〈感覚の点P〉とは、数学の問題に用いられる「任意の点P」を「ある人が持つ独自の感覚」になぞらえたもので、ひとりひとり異なる感覚を通して、多様な世界の在り方にふれてみることを試みます。

<展覧会概要>
 美術作家・今村遼佑と全盲の美術作家・光島貴之による作品展示と、感覚をめぐるリサーチの記録を報告・展示します。世代も制作スタイルも異なる二人は、京都を拠点に2022年頃より対話をはじめ、共通の体験を糸口に個々の美術作家としての感覚の違いに注目して、そこから生まれる新たな表現を探ってきました。
 東京都渋谷公園通りギャラリーでは、この活動をより多くの方と共有する試みのひとつとして、2024年5月にプレイベントを開催。今村と光島の作品展示の他、二人が共同制作した、ふれて鑑賞する作品《触覚のテーブル》を用いたワークショップを行いました。続く本展では、新たに渋谷で制作された作品やリサーチの記録を加え、これまでの軌跡と共にご紹介します。3つの展示室に広がる今村のインスタレーション作品や、手でふれることのできる光島のレリーフ状の作品は、鑑賞者が直感的に楽しむことのできる展示です。今村と光島がそれぞれ異なるゲストを招いて行う《触覚のテーブル》ワークショップなど、参加型プログラムも多数実施します。



木をさわりにいく (2024年)

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<展覧会の見どころ>
1. さわれる展示 
この展覧会では、さわることのできる作品が多数展示されます。今村遼佑のインスタレーション作品《プリぺアド・トイピアノ》は、鑑賞者がおもちゃのピアノにふれると、鍵盤の数と同じ32個の仕掛けが3つの展示室のどこかで動きます。光島貴之のレリーフ状の作品《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》は、釘やカッティングシートなど、手ざわりの異なる多様な素材の組み合わせにふれることで、鑑賞者は、光島の感じた世界をたどります。

今村遼佑《プリペアド・トイピアノ》2023年 撮影:片山達貴 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の果て〉」展 アトリエみつしま Sawa-Tadori 展示風景  

光島貴之《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》2023-2024年 撮影:前谷開 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の点P〉展 プレイベント」東京都渋谷公園通りギャラリー 展示風景

光島貴之《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》2023-2024年 撮影:前谷開 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の点P〉展 プレイベント」東京都渋谷公園通りギャラリー 展示風景

2. ユニークなリサーチの報告
二人のリサーチは、2022年に石庭を眺めることから始まり、見える人もしくは見えない人のように、二項対立構造的な説明では表現できない複雑さで、周囲の人へと協働の輪を広げながら進んできました。その内容は、野外彫刻や森の木にふれる、点訳本(点字図書)について考察する、光島の感覚をたどりながら近所を歩く、スルーネットピンポン(誰もが同じルールでプレーできるバリアフリースポーツ)をするなど、多岐に渡ります。本展では、10件を超えるリサーチの記録を一堂に展示・報告します。
【二人のリサーチの様子】

近所を歩く (2022年)

石庭をみにいく (2022年)

スルーネットピンポン体験会 (2024年)

3. 参加型プログラムを多数開催
作家が特別ゲストと共にファシリテーションする《触覚のテーブル》*ワークショップの他、《プリペアド・トイピアノ》の演奏会(出演:野村誠 2025年2月16日(日)開催予定)、スルーネットピンポン体験会、鑑賞会(ナビゲーター:白鳥建二)など、本展では複数の関連イベントを実施します。 ※詳細は、ウェブサイトにて随時公開。
*《触覚のテーブル》は、会期中、自由にふれてご覧いただけます。



《触覚のテーブル》ワークショップ風景 撮影:前谷開

この他、会場では二人の映像作品や、プレイベント(会期:2024年5月19日~26日、
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー)で実施したワークショップの記録映像*(出演:今村遼佑、光島貴之、L PACK.、伊藤亜紗、白鳥建二、他)を上映します。
*ワークショップの記録映像は、字幕及び音声解説付きで上映予定。

<作家プロフィール>
今村遼佑 IMAMURA Ryosuke
1982年京都府生まれ。インスタレーション、映像、絵画、テキストなど多様な手法で、生活の中のささやかな出来事を取り上げ、見る人の記憶や感覚に働きかける表現を行っている。2018年より携わるプロジェクト「アートと障害のアーカイブ・京都」(きょうと障害者文化芸術推進機構)を通して光島と出会う。2023-2024年「味/処」展 神奈川県民ホールギャラリー(神奈川県)他、多数の出展歴と、複数の在外経験がある。

今村遼佑《どこかのこと》2024年 撮影:前谷開 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の点P〉展 プレイベント」東京都渋谷公園通りギャラリー 展示風景

今村遼佑《どこかのこと》2024年 撮影:前谷開 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の点P〉展 プレイベント」東京都渋谷公園通りギャラリー 展示風景

光島貴之 MITSUSHIMA Takayuki
1954年京都府生まれ。10歳の頃に失明し、鍼灸を生業としながら、テープやカッティングシートを用いた「さわる絵画」の他、「触覚コラージュ」*、「釘シリーズ」など独自の方法で、自身の身体感覚を投影した新たな表現手法を探求。2020年、バリアへの新しいアプローチを実践する拠点として「アトリエみつしま」を開業。2019年「MOTサテライト2019 ひろがる地図」東京都現代美術館(東京都)他、多数の出展歴がある。
*鑑賞者は、多様な手ざわりを組み合わせた素材にふれることで、光島の感じた世界をたどる。

光島貴之《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》2023-2024年 撮影:片山達貴 ※「今村遼佑×光島貴之〈感覚の果て〉」展 アトリエみつしま Sawa-Tadori 展示風景

<開催概要>

展覧会ビジュアル デザイン:芝野健太、アートワーク:カワイハルナ


※開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。
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