平祐奈と山口紗弥加がW主演する水ドラ25「物産展の女~宮崎編~」が2025年1月8日・15日に放送される。桑野一弘氏による同名作を実写化した本作は、物産展開催のため奮闘する“食品バイヤー”の姿を描いたドラマ。百貨店「かねた屋」の食品バイヤーでがむしゃらに働く見春花を平、伝説のすご腕バイヤー・御厨京子を山口が演じる。さらに、熱量低めの春花の後輩・高城稔を杢代和人が務め、物語を盛り上げる。今回は、平、山口、杢代に本作の見どころやそれぞれの役柄についてなどを聞いた。
-本作の出演が決まったときの心境を教えてください。
平 物産展を題材にしているドラマというのは、とても珍しいなと思いました。私自身も小さい頃から母と物産展に行くことがありなじみもありましたが、食品バイヤーというお仕事があるのを今回、初めて知って、すごく新鮮でしたし、面白そうなドラマになりそうだなと感じました。しかも、今回、舞台となるのは大好きな宮崎ということだったので、楽しみで仕方なかったです。
山口 私も物産展と地元がある九州地方が大好きなので、本当にうれしかったです。企画書を読んで、お祭りみたいでワクワクすると思ったのを覚えています。私が演じる御厨京子は、“伝説の女”というキャッチフレーズなのでどう演じたらいいのかと悩みましたが、真っ赤なスーツとサングラス、紫のストールという奇妙な出立ちに助けられました。メークもツタンカーメン仕様です(笑)。今キャラクター造形にはちょっとこだわりました。
杢代 父がグルメドラマが好きで僕も一緒によく見ていたのでグルメドラマに出演できるということがうれしかったです。宮崎のおいしいご飯を物産店に出店するために頑張るというストーリーも魅力的でしたし、何よりおいしいご飯が好きなので、撮影中に食べれるのかなと(笑)。お話をいただいたときから楽しみなことがたくさんありました。
-脚本を読んでこのドラマのどんなところに魅力を感じましたか。
平 宮崎の良いとこがたくさん描かれているのが魅力の一つだと思います。実際にあるお店を使って撮影していて、そこで出しているお料理も登場します。私が演じる春花は、胃袋が大きくて、ずっと食べている女の子だったので、撮影でもたくさん食べさせてもらいました(笑)。グルメドラマではありますが、食品バイヤーとしてのお仕事も描かれているお仕事ドラマでもあります。
山口 グルメと、それを追い求める人間たちの、温かいドラマになっているんですよね。御厨は二人(春花と高城)に食品バイヤーの何たるかを教え、導くような役目ですが、やり方は強引でごう慢です。でも、彼女には食品バイヤーたるものの覚悟や矜持(きょうじ)がある。そんな御厨の姿は、何かしらの気付きをもたらしてくれるのではないかと思います。そして「食べて、育つ」を実践する若者ふたりの成長にほっこりしました。
杢代 おいしいご飯をお見せするだけでなく、ヒューマンドラマとしての楽しみもあります。僕が演じた高城は物語が進んでいくにつれてお二人から刺激を受けて変わっていきます。その姿を見て、きっと明日からも頑張ろうと思っていただけるのではないかと思います。食品バイヤーというお仕事に真摯(しんし)に向き合っている姿が描かれているとところが魅力だと思います。
-それぞれの役柄を演じる上での苦労はありましたか。
平 普段から食べることが大好きなのでたくさん食べなくてはいけないというのはそれほど苦労ではなかったのですが、ただ、ドラマになるといろいろなカットを撮影するので、予想していたよりもたくさん食べました(笑)。朝の7時にウナギを食べたり、ラーメンを食べたり。でも、そういう経験はあまりできないので、すごく新鮮でしたし、楽しかったです! 撮影で思い切り食べて、油をたくさん取っていたので、肌艶もすごく良くなったんですよ(笑)。撮影の合間には、差し入れでいただいた宮崎のおいしいスイーツもいただいて。
山口 撮影でそれだけ食べていたら、遠慮するかなと思うじゃないですか。でも、全てをおいしそうに完食する祐奈ちゃんが本当にすてきで、その姿に癒やされていました。見ている私たちが幸せな気持ちになったよね。ラーメンなんて10杯くらい食べていたんじゃない?
平 そうですね、2日連続でラーメン屋のシーンを撮影したので、トータルで10杯くらい食べました。ラーメンは大好きなのですが、普段はむくんでしまうことを気にして我慢しているんですよ。なので、今回はご褒美だと思って、カットがかかっても食べていました(笑)。
-山口さんが演じた御厨はかなり個性的な役ですね。
山口 長ぜりふや説明ぜりふが多くて、息が足りなくなったり、口が回らなかったり大変でしたが(笑)、御厨の揺るぎない信念をどうにか形にできないかと“明瞭な声”を意識しました。御厨は、最短距離で、一直線に突き進む合理的な人物だと考えていたので、体の動きにもそうしたイメージを常に持っていましたね。無駄なことはしない。でも、必要な努力は惜しまないし、そこには必ず理屈がある。台本には書かれていませんが、御厨は千里眼を持っていると考えています(笑)。
-杢代さんはいかがですか。
杢代 高城は最初はやる気がなくて、食品バイヤーという仕事にも全く興味を持っていないのですが、二人と出会って変わっていきます。今回、アドリブも多かったんです。監督から「自由にやって」と言っていただいたこともあり、リアクションなどは自由にやらせていただいて、すごく楽しかったです。やる気がないキャラクターで、最初はとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、弟キャラなかわいげのある人物に見えるように意識してお芝居はしていました。
-宮崎のおいしいものがたくさん登場しますが、特に印象に残っているものは?
平 たくさんあります!
山口 私は、日向市の差し入れでいただいたササミジャーキーです。中でも、ブラックペッパー。
平 ブラックペッパー、おいしかったです!
山口 最強だよね!
杢代 味が濃縮されていますよね。
山口 そうなの。味わい深いんだよね。小腹が空いたときにもちょうどいい。それから、都城市の道の駅の「ねったぼ」も素朴なおいしさですごく好きです。お餅とサツマイモをすりつぶして作ったもので、忘れられない一品です。
杢代 僕はやっぱり宮崎ラーメンですね。撮影前にお腹が空いてしまって、こそっと作っていただいて。撮影では食べられなかったので、先に食べさせてもらいました(笑)。あっさりしているのに、コクがあって。
平 今回、このドラマの中でも一番、長い時間をかけて紹介しているのが宮崎ラーメンなんですよ。にんにく醤油で味変していただくとよりおいしいんです。私もこれまで宮崎に何度か行ったことがありましたが、宮崎ラーメンは今回の撮影で初めて食べて、こんなにおいしいんだと感動しました!
-では、皆さんの食に対するこだわりも教えてください。
杢代 めちゃくちゃ鼻につくことを言ってしまいますが、僕、最近、ビストロが好きなんですよ。
平 それは鼻につく(笑)。
杢代 料理人さんが自由に作っている料理が好きで、おいしいお店を見つけたので、昨日もグループのメンバーと行きました。もう2回も行ってます!
山口 まだ2回でしょう(笑)?
杢代 2回はもうハマっているってことなんです!
山口 あはは(笑)。祐奈ちゃんは料理が得意で、何でも作れるよね?
平 一時期、発酵食品にハマっていた時期があって、味噌やキムチ、かす漬けを作っていました。なので、食のこだわりというと、家で野菜を育てていたことです。自分で育てた野菜は、すごく愛着が湧いて、いとおしく感じるんですよ。種からこんなに大きくなってくれたんだって。
山口 分かる、分かる。ピーマンも種までいただいちゃうよね。捨てられない。
平 そうなんです。育てるのも楽しいし、いとおしい。こだわりというよりは趣味ですね。でも、紗弥加さんもお得意ですよね?
山口 最近は簡単なものしか作りません(苦笑)。確かにこだわるタイプではあるので、好きなものにはどんどんのめり込んでいってしまうんですが、得意というわけでは全然なくて。例えば、好みのお醤油に出合ったら、そればかり気になって、冷蔵庫が調味料だらけになったり(笑)。それぞれの料理に合うものを使おうと思って、使い分けています。煮込み料理なら、魚醤と白醤油と濃口醤油を合わせると、驚くほど奥深い味わいになるんですよ。そういう意味では、今は魚醤にハマっているかもしれません。フグや鮎、ハタハタだったり、イカだったり、いろいろなものがあるんです。
杢代 すごい! 食べてみたい。
-最後に、ドラマを楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。
平 ドラマの原作では九州のいろいろなところに春花たちが行きますが、ドラマは宮崎編から始まります。宮崎の魅力が満載です。宮崎出身のずんのやすさんや温水洋一さんもゲストで出演してくださっています。見ているとおなかを空かせてしまうかもしれませんが、こういうお仕事もあるんだなと思いながらほっこり見ていただけたらと思います。
山口 「食べることは、生きること。私たちは生かされている」原作の御厨のせりふですが、私たちは普段から、おいしいものをいただくことが当たり前になっている気がしていて。その“おいしい”の裏側にある生産者の方や食品バイヤーの方々の情熱、そこにある人間ドラマを描いているので、たくさんの思いを受け取っていただけたら幸いです。
杢代 物産展にはご当地のものだけでなく、食品バイヤーさんたちの熱い思いが詰まっています。そうした人間ドラマがあることを僕は知りませんでした。きっと視聴者の皆さんの中にもまだ知らない方はいらっしゃると思います。食品バイヤーの仕事の魅力ややりがいがこのドラマから感じられると思います。何よりおいしいご飯がたくさん出てきて、それを食べる僕たちの姿がこの作品の見どころでもあると思うので、ぜひ見ていただいて、物産展にも興味を持ってもらえたらと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
水ドラ25「物産展の女~宮崎編~」は、2025年1月8日・15日 深夜1時からテレビ東京ほかで放送。動画配信サービス「U-NEXT」「TVer」でも順次見逃し配信。