身近な交通手段として多用される自転車は、年齢を問わず多くの人に日常の移動手段として利用されています。近年では、東日本大震災直後の公共交通機関の運休などで、会社員の自転車通勤利用が増えた結果、そのまま通勤手段として定着し、自転車の価値が高く見直されているところです。
しかし、一方で自転車に乗っている人が当事者となる交通事故も急増しているのも事実。なんと件数では12万1,040件に達し、死傷者数は12万529人と、自動車事故よりもはるかに数が多いのです。その背景には、電動自転車の登場による自転車の高性能化、道路環境整備の遅れ、交通ルールの違反やマナーの悪さなどがあげられます。
昔は自転車同士、あるいは歩行者にぶつかっても、「ごめんなさい」のひと言で済んでいた自転車事故も、いまでは重大事故につながることが多くなったため、多大の損害を引き起こすことが多くなりました。今回はあなたにも起こりうる自転車事故シチュエーションをご紹介しましょう。
ケース1 歩道を走行中に……
レーシングサイクルを愛用するBさん。愛用の自転車にはスピードメーターを付け、日々自分の脚力を試す生活を送っていました。ある日、国道沿いの歩道を時速60km近くで走行し、歩道を歩いていた人に激突。地面に頭を強打させて、相手を死亡させてしまいました。
Bさん自身も怪我を負いましたが、相手の遺族から損害賠償請求され、裁判でなんと7,000万円近くの賠償命令がくだりました。
ケース2 通学中に……
高校生の息子をもつDさん。ある日息子が通学中に、駐車中の高級自動車にぶつかってしまい、かなりの損害を与えてしまいました。Dさん自身は自身の自動車保険で自転車傷害特約をつけていましたが、家族は適用外。保護者としてDさんは300万円を支払うこととなってしまいました。