なにはともあれ――
竹内結子は、これまでと変わらぬ熱量の魅力を放っている。
しかも、これまでとは打って代わった魅力で勝負したにもかかわらずだ……。
ある意味、姫川玲子という役は、ワンステージ上の竹内をお披露目するためのヒロインであると言えよう。
二つ目の要因……それは脇を固める男優陣の存在である。
武田鉄矢……姫川を忌み嫌うガンテツなるおっさんデカを、金八もどきの説教臭さと、金八とは真逆の嫌味臭さで、ねっとりと熱演。
生瀬勝久……姫川をストーカーばりに偏愛し続ける、井岡刑事役をあきれるほどの軽く、そしてねちっこいノリで快演。
西島秀俊……姫川に思いを寄せる、年下の部下菊川刑事を、不器用に真摯にじんわりじわじわと好演。
ほかにも津川雅彦、遠藤賢一、渡辺いっけい、宇梶剛士、高嶋政宏……。
渋い、あるいは濃い、もしくは無骨な味わいを持つ男優たちが、
それぞれ大人のさじ加減で、絶妙なブレンドハーモニーを作り上げている。
三つ目は丁寧かつ細やかな演出と脚本。
演出は、映画『キサラギ』、テレビドラマ『シバトラ』の佐藤祐市。
脚本は、『星の金貨』『白い影』『砂の器』の龍居由佳里。
重厚感のある龍居の脚本に加え、登場人物の個性をドラマの隅々にまで、織り込む佐藤の細やかな演出。
俳優たちの人気と実力だけに頼らない、大人による大人のためのドラマ作り。その土台をふたりは築いている。
そして四つ目。なんと言っても、誉田鉄也の原作の面白さ。
誉田哲也の“姫川玲子シリーズ”はこれまで5巻刊行され、累計160万部を突破している人気作品である。
誉田哲也は『武士道シックスティーン』シリーズなどのカラッとした青春モノが人気であるとともに、『ジウ』シリーズ、『姫川玲子』シリーズといったサスペンスモノでも評価の高い作家である。
『ジウ』『武士道』シリーズもドラマ化、映画化され、原作の認知度もそれにともない上がったものだが、
『姫川玲子』シリーズは、これらの作品より、もうワンランク上のステージへ辿り着くことだろう。
現時点におけるドラマ『ストロベリーナイト』の開幕ダッシュ的な高視聴率を見るにつけ、
原作にかなりの波及効果を与えることになるからである。
おそらくは、このまま高視聴率がキープされれば、最終回を迎える春には、
シリーズ累計200万部近くまで到達するのではないだろうか?
さて、ドラマ に小説に大きなうねりを見せつつある『ストロベリーナイト』。
そのうねりが現在よりさらに大きなものとなれば、『アンフェア』のように映画化の可能性も大いにあるはずである。
いや、もしかしたらすでに、フジテレビサイドは視野に入れているかもしれない。
『ストロベリーナイト』は、春までの間もっとも目が離せないコンテンツである。