
北はオーストリア、西はイタリアと国境を接するスロヴェニア。その第2の都市で、オーストリア国境から程近いマリボールからマリボール国立歌劇場が来日した。演目はヴェルディの傑作オペラ『アイーダ』。その舞台稽古が10月16日に行われ、第1幕が公開された。
スロヴェニア・マリボール国立歌劇場「アイーダ」のチケット情報
ヴェルディの『アイーダ』は古代エジプトが舞台という壮大な物語設定でありながら、男女の愛と人間関係を繊細に描写するオペラで、特に第2幕の凱旋行進曲はオペラを知らない人も耳にしたことのある有名曲である。今回の日本公演の注目のタイトルロールは、フィオレンツァ・チェドリンスとマリア・グレギーナというビッグネームのダブルキャストで、公開リハーサルにはチェドリンスが登場した。チェドリンスは、ミラノ、フィレンツェ、ヴェローナをはじめとする世界の名歌劇場で活躍するディーヴァ(歌姫)。10年ほど前にはサントリーホールのホール・オペラや新国立劇場の公演にも出演しており、日本のオペラ・ファンにも人気の歌手である。そんな彼女にとってアイーダは得意な役のひとつ。となれば、いやがうえにも期待が高まる。
敵国エジプトに捕らわれたエチオピアの王女アイーダは、身分を隠して奴隷となりエジプトの王女アムネリスに仕えているが、密かにエジプトの若き武将ラダメスと愛を育んでいる。アイーダは悲哀に満ちた高貴で可憐なキャラクターとして表現されることが多々ある中、チェドリンスは、祖国エチオピアと現在の自分の立場への悔しさと苛立ちがにじみ出る激しいアイーダ像を描く。ラダメス、アムネリスとの三角関係もより劇的で、その火花が客席にも飛んできそうだ。アイーダの最初の聴きどころ「勝ちて帰れ」では、祖国を思う気持ちとラダメスへの恋心の間で揺れる苦悩を、チェドリンスは激烈なまでにドラマティックに歌い、それでいて、後半の神へ祈る歌では深い情感を聴かせる。1曲で圧倒的なドラマを描き出したチェドリンスの調子は上々のようで、本公演では聴衆の心をわしづかみにすることだろう。
フランチェスコ・ローザが指揮するマリボール国立歌劇場管弦楽団は歌心に満ちた演奏で、テンポのメリハリを効果的に作ってオペラ全体を牽引する。また、合唱団は特に男声の低音の豊かな響きが魅力的。そのほかの歌手も粒ぞろいで、イタリア・オペラの魅力を余すところなく伝えてくれるだろう。
◆スロヴェニア・マリボール国立歌劇場「アイーダ」
・マリア・グレギーナ出演
10/19(日) 15:00開演
10/22(水) 18:30開演
・フィオレンツァ・チェドリンス出演
10/23(木) 18:30開演
会場:オーチャードホール
★特別先着割引を受付中!
【対象公演】10/22(水)・23(木)公演
【席種・料金】S席・特別割引-16,000円(通常価格24,000円) A席・特別割引-12,000円(通常価格19,000円)
【販売期間】10/17(金)10:00~各公演日2日前の23:59