日本人が持つイメージ?
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現在、横浜市では、JR横浜線中山駅、JR根岸線洋光台駅前などの公衆トイレでも使用されているほか、日本国内では、南海電鉄の多くの駅でも導入されている。
さらに世界を見れば、空港のトイレ、スポーツ・スタジアム、オフィスビル、レストランなど多くの事例があるというが、国内ではそこまで頻繁に出会うものではないのも確か。その理由を尋ねてみた。
「一番のハードルは、日本の文化です。先も言いましたが、日本人は水を流さない=汚いという考え方が根強いので、その意識を変えていくというのはなかなか難しいんです。無水というと、昔の汲み取り式便所や肥だめをイメージしてしまいますからね。商品としては非常に魅力的だけれども・・・感覚的な問題なんです」
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まさに今回のキニナルは、筆者自身も持っていた日本人のイメージからきた内容と言える。ここまで説明を受けて、当初の無水トイレに抱いた不衛生なイメージは完全に払拭されていたのだが、確かに、このイメージを改善させるのは、高いハードルだと感じる。
しかし、実際にその効果を体感し、上大岡のように導入している場所もある。
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ちなみに、この無水トイレはバスターミナルに設置されたあと、その効果が評価され、その後の2006(平成18)年にウィング上大岡のトイレにも導入したということだ(バスターミナルとウィング上大岡のトイレは所有者が異なる)。
小山田さんへ、無水トイレへの想い、今後の展開について聞いてみた。
「現在は、日本のメーカーから“超節水トイレ”なども普及していることや、先ほどお話しした無水トイレの潜在的なイメージもあり、省電舎としては積極的に無水トイレをPRしているわけではございません。お問い合わせいただいているごとに対応させてもらっています。
しかし、環境だけでなく、経済面や衛生面など、高いメリットを誇るこの無水トイレがもっと普及したらという思いは常に持っていますね。ぜひ機会がありましたら、使用してみていただきたいです」
導入した横浜市の感触は?
都市整備局市街地整備調整課担当大胡(だいご)さんに導入したきっかけを伺うと、
「当初は施設の省エネ・節水対策のために“無水トイレ”の導入を検討しました」とのこと。また、「今後については、節水能力が高いトイレの候補としてあげますが、メンテナンスが必要だったりと各施設によって状況が違うため、“無水トイレ”のみを導入するということは検討しておりません」とのことだった。
そして、実際に管理を行っている横浜市住宅供給公社の中川さんにも話を伺った。
「もともとバスターミナルの公衆トイレは、使用頻度が高く臭いが酷かったので、臭いが抑えられる“無水トイレ”を導入しました。実際に導入してみて、臭いを抑えられたので、満足しています」とのこと。
導入を検討する際の状況や時代背景によって、効果的な場合もあるが、すべての事例でそうなるとは一概には言えないようだ。
取材を終えて
無水トイレについて知れば知るほど、そのメリットになぜもっと多くの場所で普及しないのかという思いが強くなった。しかし、小山田さんの言うように、日本人の持つ潜在的なイメージを払拭するのは容易ではない。
事実、筆者も今回の取材をするまで、そのメリットについてはほとんど理解していなかったし、ここまで読んでもらっても、無水トイレが本当に臭いを抑え、コスト削減や衛生かつ環境にも優しいのか、半信半疑の方もいるだろう。しかし幸いにも? 前述の通り横浜市では、上大岡のほか、中山駅、洋光台駅前の公衆トイレに導入されている。男子諸君、まずは一度、先入観無しに使用してみてほしいと思う。
取材協力
株式会社省電舎
※本記事は2014年9月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。