松坂屋名古屋店で行われていた中日ドラゴンズのセ・リーグ優勝記念セール、これがかなり盛況だったらしい。人気商品は落合博満監督の背番号66にちなんだ、660円の婦人物コートやセーターだってよ。客はいくつもまとめて商品をゲット! してたとか。まぁ、そら、そうなるわな、だって安いもん、バカ安だもん! コート660円って……すごくない? 安い、安すぎるぞ、松坂屋! どーでもいーけど、最終的に儲かんのかっ、松坂屋っ! まぁそれは余計なお世話として……。他の百貨店の優勝記念セールも、これまた背番号66にちなんだ売り場が設けられ、ウケまくってたらしい。……なんだよ、ちなんでんじゃん、落合に。オレ流・博満にさ。やっぱドラゴンズの“顔”なんじゃん、落合って。
さて、“オレ流”落合ドラゴンズの話である。CSシリーズも開幕間近。1stステージのヤクルトvs巨人における勝者を落合ドラゴンズが迎え撃つ。そこで相手をなぎ倒せば、お次は日本シリーズ。……なんか落合ドラゴンズ、日本一、イケそうだなと思う。かなりイケそうだなと思う。ていうか、今回はいってほしい、いくべきだとさえと思っている。
だって、監督もコーチも選手も背負ってるな、背負ってるもんがちょっと違うなと思うからだ。
プロ野球ってのは、基本的にはチームスポーツである。だから戦力と戦術が整ってるほうが強い。いいバッターといいピッチャーがたくさんいて、チーム戦術が整ってるほうが、そりゃあ、勝つ可能性が高いワケだ。
しかし、時としてプロ野球ファンは、戦力・戦術から導かれる結果ではない、”何か”を求めていたりする。つまりは、その何かにこそプロ野球の輝きを求めていたりするワケだ。
ファイターズは梨田監督の退任報道後、失速した。ドラゴンズは落合監督の退任報道後、加速した。それもフルスロットルでの加速。チーム一丸で重いものをどんっ! 背負っちゃったくせに加速しちゃった。それは意地でありプライドでもあり……まぁいいや、やめとこ。言葉にするとなんか安っぽい。いずれにせよ、単なる戦力や戦術だけではない”何か”をわれわれは、いま見たいと思っている。
ここで、81年のパ・リーグ、プレーオフ「日本ハムvsロッテ戦」の話をひとつ。プレーオフの大事な場面で大エース・江夏豊が撃ち込まれ、交代させられることになった。代わりにマウンドに登ったのは超若僧クン。それこそ「キミ、誰?」ってな投手だ。この場面を解説をしていたのが、燃える男・星野仙一。彼は「この若者は絶対抑える!」と断言した。燃える男に言わせりゃ、江夏っつー男は、そらぁもう、プライドが異常に高く、撃ち込まれたとあっちゃぁ、ふて腐れてマウンドをとっとと降りるのが常だと。でも今日の江夏は違うと。若僧クンがマウンドに上がるまで待ってると。しかもその間、土のついたボールをきれいに拭き取って若僧に渡したと。さらには荒れたマウンドをきれいにならしてさえいたと。あの江夏がプライドを捨てて、ただただ、勝ちたくて心をこめて若僧クンに次ぎを託したと。こういうとき、後を託された投手は絶対打たれんもんだと、野球ってのはそういうもんだと、燃える男は吠えまくってた。で……結果はどうだったのかつーと、これが見事抑えたのね、若僧クンが。そこには、単なるテクニック論や戦術論を越えた”何か”があった。つまりはプロ野球の輝きがあったワケだ。
だから、落合ドラゴンズには、勝つというだけではない”何か”を見せてくれることを願う。背負っちゃってる“何か”を見せまくってくれることを願う。もちろん、日本シリーズ制覇という形で。そしたら、また日本一優勝記念セールだ。また落合監督の背番号66にちなんだ商品がバカ売れだ。「ないない」って言われ続けた人気も、けっこうあったんじゃねぇーの、落合っててな評価も出るだろ。間違いなく落合博満は突出した監督と思う。でも勝つだけではない“何か”を、つまりはプロ野球の輝きを見せつけた監督として、有終の美を飾ってもらいたいもんだと思うのだ。