巨大なお金が投資されている欧州サッカーやワールドカップには、グローバルビジネスの流行がよく表れていると言われる。そこで、クイズを出題。

エミレーツ航空、カタール航空、エティハド航空、そしてアゼルバイジャン……。これらに共通するものは、な〜んだ?

答えは、欧州サッカークラブがユニフォームの胸部分に付けているスポンサー名だ。

エミレーツ航空はレアル・マドリーやACミラン、アーセナル、チェルシー、パリ・サン・ジェルマンと各国のビッグクラブに投資し、カタール航空はバルセロナ、エティハド航空はマンチェスター・シティをサポート。

アゼルバイジャン? と思った読者もいるかもしれないが、旧ソ連の産油国は政府としてアトレティコ・マドリーのスポンサーになっている。ちなみにカタール航空がバルサに払ったスポンサー料は3年総額約177億円で、アゼルバイジャンは年間約28億円を拠出。莫大なオイルマネーに欧州サッカーは支えられているのだ。
 

スポーツにおける「スポンサーシップ」とは?

振り返ると、世界で初めてユニフォームの胸部分にスポンサーの名を入れたサッカークラブはウルグアイのペニャロールで、1950年代のことだった。それから半世紀。当初、ユニフォームにスポンサー名を入れることに抵抗を示すクラブやファンは少なくなかったというが、いまや胸スポンサーのないユニフォームのほうが珍しいくらいだ。

時代の変遷とともに、人々の価値観は大きく変わっていく。変遷するスポーツシーンをスポンサーという観点で見ると、次のように表現することができる。

「スポーツ2.0」――。

昔のスポンサー企業は広告や看板で名前を露出し、宣伝価値を得られればいいという発想だったが、現在、スポーツを支える各社は新しい価値観で動いている。それを筆者が勝手に命名すると、「スポーツ2.0」という発想だ。

12月29日にBSジャパンで放送される番組『桑田式スポーツK営学』は、そうした取り組みに焦点を当てている。毎年年末に放送され、第3回を迎える今回のテーマは「スポンサーシップ」。番組プロデューサーの遠藤正紀氏は、その意図をこう説明する。

「あるスポーツ小売店の上層部と話をしていたとき、『一般産業界からもっとスポーツにお金が流れてくるようにならないと、日本のスポーツはよくならない。特定の企業だけがスポンサーになるのでは、同じパイを奪い合っているだけだ』という話になりました。そうした視点から考えて、今回はスポーツでうまくマーケティングしている企業を取り上げています」