こんにちは、おもにプロレス雑誌などで編集者/ライターをやっております松本と申します。今回は、プロレスに興味がない皆さんにある選手を紹介したいと思う。まずはこの動画を観てほしい。皆さんのイメージする「プロレスってこういうものでしょ」という映像を一旦思い浮かべてから観たほうがいいかもしれない。
この動画の中で、本屋やショッピングモールやキャンプ場や遊園地(花やしき)で、蹴って、投げて、飛んで、受け身を取って、ときにはロケット花火を人に向けて撃ったり、トラックで人を轢いたりしているのが、“ゴールデン☆スター”飯伏幸太(いぶし・こうた)である。
ここ数年、「プロレス人気が復活した」と言われている。ネット上にも
●臼北信行のスポーツ裏ネタ通信:ご存じ? 今「新日本プロレス」が盛り上がっている Business Media 誠
というような「プロレス再ブームの原因は?」的な記事も多い。
『サイゾー』でもプロレス特集が組まれているし、
https://www.premiumcyzo.com/modules/cat/special1/
7年半前に休刊したプロレス雑誌『ゴング』が復刊して売上げ好調だ。
https://www.oricon.co.jp/news/2042228/full/
昨今のプロレスブームの原因は、詳しくは上記の記事を読んでもらうとして、「女性ファンが増えた」ということが取り上げられることが多い。たしかに最近は女性ファッション誌にもプロレスが取り上げられることが増えたし、『もえプロ 女子のための“萌える”プロレスガイドブック』という本も出版され、「プロレス女子会」というものがテレビで取り上げられたりもしている。
実際、自分の周りでも知り合いの女性が次々にプロレスファンになっているのだが、その女性たちに共通しているのは、ある選手のファンだということ。それが、冒頭の動画に登場した飯伏である。
『ここは退屈迎えに来て』を書いた作家の山内マリコさんも最近初めてプロレス会場に行ったらしく、『週刊文春』のコラムでこう書いている。
「女子がいきなりプロレスに興味を持ちはじめたら、そこに飯伏幸太あり、である。まじめなプロレスファンの男性からは顰蹙を買いそうなチャラい動機であるが、すまんがそういうことなのだ」(山内マリコ「お伊勢丹より愛をこめて」第20回 イヤァオ!!!/『週刊文春』2014年9月4日号)
正確には、このコラムは「飯伏目当てで初めて会場に行ったら欠場中で、他のレスラーも好きになった」という内容ではあったが、「女子はみんな飯伏幸太が好き」というのは間違いない。
同じく、タレントの眞鍋かをりさんも最近プロレス会場に初めて行って
犬山紙子、劔樹人夫妻と両国国技館! DDT満員すげー!! そして初めての生飯伏たのしみ!! https://t.co/8ifRLLo50Q
— 眞鍋かをり (@KaworiM0531) 2014, 8月 17
最高だったに決まってるし肉体が芸術作品だった!飯伏Tシャツにサインもらったから宝物にする!写真も一緒に撮ってもらえたけど、私の目がマジ過ぎるので非公開 RT @kamui007: @KaworiM0531 で…生飯伏幸太は如何でしたか?
— 眞鍋かをり (@KaworiM0531) 2014, 8月 17
結論 DDT最高!!!!!またすぐ見たい!!!! 飯伏選手最高だったし棚橋選手に痺れたしみんな肉体凄かったしもうマジで昇天しました!!!!
— 眞鍋かをり (@KaworiM0531) 2014, 8月 17
と興奮しながらツイート。
女子がなぜ飯伏に夢中か、その理由をざっくり簡単に言うと「爽やかなルックスで体脂肪率の低いボディ」「カッコいい打撃」「何をやってるのかすらわからないぐらい凄い飛び技」などがあげられる。これだけでもプロレスを初めて見る女子が心を奪われるのは当然だろう。
「プロレス初心者の女子は飯伏を大好き」と言うと、「飯伏が好きなヤツは“にわか”」的なイメージを受ける人ももしかしたらいるのかもしれない。しかし、そんなことはないどころか、プロレスを長年見続けているファンにも飯伏は人気だ。
プロレスファンという人種は、日常生活や普通のスポーツでは見られない人種が見たいからプロレスファンをやっていることが多く、ただのイケメン、ただの運動能力が高い選手には興味がない。そんなプロレスファンの注目も集めるのが飯伏という男の凄さなのだ。
次ページから、飯伏のどこが人気なのかを解説していきたい。