■「路上プロレス」が凄い!
冒頭にも貼ったが、このインパクトは動画で見るのが一番いいと思う。
『BEST OF THE SUPER 路上プロレス〜飯伏幸太編〜』予告 (※冒頭のものとは別バージョンです)
『飯伏幸太のマンションプロレス』予告編
これを読んでいる皆さんは、小さい頃から「危ないことをしてはいけない」「廊下やプールサイドは走っていけない」と言われて育ったと思うが、飯伏はその真逆のことばかりしている。路上プロレスでなくても、自販機の上や日本武道館の2階席から飛んだりもしているのだ。飯伏幸太を観る楽しさのひとつは、「見てはいけないものを観ている」「普通の人がやりたくてもできないことを代わりにやってもらっている」という快感ではないだろうか。
そして飯伏がやることは本当に全部が危ないため、見ている側としては「活躍を見るのは嬉しいけど、ケガしないでね」と、お母さんみたいな気分にさせられる。このあたりも女子人気が高い一因となっているはず。実際、ケガでの欠場は多く、それが飯伏の唯一と言っていい欠点だ。そして、これは言いづらいことだが、この「いつまで飯伏のプロレスを観ることができるんだろう」「今しか観られないかもしれない」という刹那的な要素も、飯伏の魅力を増していることは否定できない。もちろんケガをせずにいつまでもがんばってもらいたいものだが……。
ちなみに飯伏はプロレス以外でも「控え室にいる他団体の先輩の全裸写真をツイッターにアップしてアカウントを凍結される」「学生時代、校長先生が毎日通る道に深さ1メートルの落とし穴を掘って落とし、脱臼させる」などの「やってはいけないことをやった」エピソードを数多く持っていることも見逃せない。
■根底にあるのはプロレス愛!
最後にこれだけは誤解なきように言っておきたいのが、飯伏が路上プロレスをやるのは決して「やってはいけないことをやりたくなっちゃう癖(へき)があるから」ではなく、「世間にプロレスを広めたいから」という部分が大きいということだ。ここで先日復刊したプロレス雑誌『ゴング』での飯伏幸太インタビューを引用する。
飯伏 そうですね。やっぱり「ヘビーのベルトが欲しい」っていうのはあるんですけど、その理由がみんなと違うんです。プロレスの頂点に立ちたいからじゃなくて、プロレスを知らない人に対するわかりやすい象徴としてベルトが欲しい。例えば路上プロレスをやる場合でも、ベルトがないと「どうせそんな有名なヤツじゃないんだろ?」って思われる。でもベルトがあると「あ、こいつ本物のプロレスラーなんだ。じゃあ観てみようかな」ってわかるじゃないですか。
――「強いのにこういうこともやってる」というギャップも生まれますしね。
飯伏 そうです。そのために「ベルトを使う」って言うと言い方が悪いかもしれないですけど。プロレスを広めるために、ベルトを取って自分の価値を上げたいんですけど、全部プロレスを広めるためなんですよ。そのために1回でもいいからIWGPヘビーのベルトを獲りたいです。いや、名前のあるベルトなら全部。(中略)でもどうせ巻くなら「あ、猪木が巻いてたベルトだ」とか「馬場が巻いてたベルトだ」とか、一般の方でもわかる名前のベルトのほうがいいですね。
危険なことばっかりやっているので、ただのクレイジーなヤツだと思われがちな飯伏幸太だが、じつは誰よりもプロレス愛が強く、「プロレスを広めるにはどうすればいいか」を考えているのだ。たしかに、根底に「プロレスがおもしろいので広めたい」というのがなければ、ここまで身体を張ることはできないはずだ。
さらに言うと、飯伏はいろんなインタビューで「あくまで路上プロレスはきっかけに過ぎないし、路上よりもリングでやっているプロレスのほうがおもしろいのでできればそっちを見てほしい」「自分はあくまで『入り口になれればいい』と思っているし、そのあと他の選手のファンになってもらっても全然かまわない」という主旨のことも繰り返して言っていることも付け加えておく。実際、会場に行くと飯伏とは違った方向に様子がおかしい人がたくさん見つかると思うので、皆さんも飯伏きっかけでプロレスを好きになってもらいたい。
そして、路上プロレスの発展形として、飯伏が今後実現させたいのは「渋谷のスクランブル交差点プロレス」と「山手線プロレス」だそうである。やっぱりクレイジーだよ!
■最後に
今回紹介した飯伏幸太選手は、「DDTプロレスリング」及び、「新日本プロレス」の会場で観ることができます! 出場予定などは以下のサイトをチェック!
※2014年10月26日 DDT後楽園大会より発売する新作DVD!