乾燥というと肌のことばかりが注目されがちですが、「目」や「口の中」だって乾燥します。
今回は、放置すると危険な「ドライマウス」「ドライアイ」がもたらす病気について、その予防法もあわせて医師がお伝えします。
糖尿病から虫歯まで?! 病気をもたらす「ドライマウス」
推定患者数は800万人にのぼるといわれる「ドライマウス」。唾液量が減少することにより口の中が乾燥し、さまざまな症状を引き起こします。
ドライマウスの症状が続くと口臭の原因や、虫歯や歯周病などの原因にもなるといわれています。
<ドライマウスを症状に持つ病気>
【1】糖尿病
糖尿病では尿がたくさん出て脱水状態になり、口のなかや喉が激しく渇き、水分を欲しがるようになります。
【2】シェーグレン症候群
唾液や涙の分泌が低下してしまう自己免疫疾患です。
【3】薬の副作用
利尿効果のある薬などの副作用で、尿がたくさん出て、口の中が乾きやすくなることがあります。
<ドライマウスが引き起こす病気>
【1】誤嚥性(ごえんせい)肺炎
高齢者の場合には、ドライマウスで口の中の唾液分泌が低下していると食べ物をスムーズに飲み込めなくなり、気管に誤って食べ物が入ってしまう「誤嚥性肺炎」を起こして亡くなることがあります。
75歳以上の高齢者の死因の第1位が誤嚥性肺炎であることからも、その頻度の多さが分かります。
【2】虫歯
唾液には抗菌作用があります。しかしドライマウスの症状で、唾液の分泌低下になると、口腔内の虫歯菌の増殖を促進させるため、虫歯になるリスクが非常に高くなります。
歯周病のリスクも高くなります。
予防方法としては、口の中を常に潤しておくことが大切です。細めな水分補給やうがい、口をゆすぐことなども効果的です。また、口を閉じてガムをかむなど積極的に鼻呼吸に変えことも効果的です。虫歯になるのを防ぐためには、毎食後に歯を磨きましょう。