撮影:熊谷 仁男

BanG Dream!(バンドリ!)などのメディアミックスコンテンツ、カードファイト!! ヴァンガード(以下ヴァンガード)などのゲーム系コンテンツ、新日本プロレス、KNOCK OUTなどのスポーツコンテンツでお馴染みのブシロードグループ。

ブシロードグループの創設者であり、現ブシロード取締役である木谷さんにインタビュー。

バンドリ!制作秘話、最近イケメン格闘家が多い理由、働き方改革の本質……

さらには、日本と世界を比較したスポーツビジネスの見方についても、くわしくお伺いしました!

vol.1 次世代ガールズバンドプロジェクト

バンドはアート!声優バンドに起きた、大変だった出来事

バンドリ!とは、「Poppin'Party(ポッピンパーティ)』「Roselia(ロゼリア)』などの声優バンドを生み出した、次世代ガールズバンドプロジェクト。

アニメやスマホ向けゲームアプリ、漫画の連載など、さまざまなメディアミックスを展開しています。

中村:バンドリ!を作るにあたって、大変だったエピソードはありますか?

木谷:彼女たち(Poppin’Party、Roseliaのメンバー)は声優さんでありながら、方向性の違いとか、普通のバンドと同じことが起こるんですよね……(初期の頃の話ですが)

バンドまでいくとワークじゃなくてアートになるんですよね。それぞれの生き様があるため、自己主張が入ってくる。

声優としてのキャリアにも差があるので合わせるのも大変ですね。

活動しはじめてから3年半が経ち、ようやくかたまってきたな、バンドらしくなったなという感じです。

中村:木谷さんご自身はどのあたりまで携わってらっしゃるんですか?

木谷:最初に楽器を弾ける声優さんを探すところから僕自身がはじめました。

ヒットはマーケティングで生まれる!では、『大ヒット』は…!?

木谷:結局、みんなが無理だと思うことを率先してやらないと大ヒットなんてしないんですよね。

ヒットはマーケティングで生まれます。過去事例を最適化をするだけです。

今ある数字の分析(マーケティング)だけではなく、表に現れてない潜在的な需要を見つけ出して表に出すことが『大ヒット』につながります。

中村:スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下ガルパ)もまだまだという感じでしょうか。

木谷:現状でも素晴らしい成績ですがさらに盛り上げて行きたいですね。

声優さんたちは時には1日10時間くらい練習とかしているんですが、これは誰もができることじゃない。

やっぱりできる人にしかできない。

でもコンテンツって、がけっぷち感が大切なんですよね。この先ないっていう状況のときが一番当たります。

中村:ほかにも同じようにがけっぷちで当たったコンテンツがあったんでしょうか?

ブシロードのタイトルで大きく当たったもの=信じて費用を投資し続ける

木谷:ブシロードのタイトルで大きく当たったものは全部そうですね。

ヴァイスシュヴァルツというカードゲームは、発売当時年間2億円しか売り上げが見込めないのに広告に2億円使っていました。

これで当たらなかったら会社が潰れてましたね。

もちろん当たると信じていたからお金をかけたというのもありますけど。

次にヴァンガードです。ヴァンガードは最初の半年で18億の売り上げだったんですけど、使ったお金も18億でした。

中村:すごい!

そこは信じて費用を投資し続けるんですか?

木谷:そうですね。バンドリ!はそこまでではないんですけどね。

先にアニメをやってからゲームをリリースの予定だったんですけど、アニメがいまいち勢いがつかなかったので、直前のプロモーションは全部ゲームに充てました。

なんでもいいからとにかくCMなど流して、これ外れたらどうするの?的な……。

中村:(笑)そういった宣伝は木谷さんが旗を振ってやっていくんでしょうか?

木谷:最初は僕ですね。今は現場が自由にしている部分も大きくなっていますけど、コンテンツは立ち上げが一番むずかしいんですよね。

皆なかなかアクセルを踏めない、だからアクセルは僕が踏みます。

中村:そのアクセルを踏むタイミングというか、イケる!って思うタイミングがあると思うんですけど、それは毎回違う感じですか?

木谷さんがイケる!って思うタイミングとは?

木谷:毎回違いますね。でもなんとなく空気感でわかるところはあります。もちろん数字をみて、現場を見て、お客さんのコメントなんかも全部見ます。

今はわかりやすいですよね。YouTubeのコメントや、いいね、動画再生の数とか。

プロレスもそうなんですけど、試合終わったあとにお客さんが誰も帰らなかったらいいイベントなんですよね。映画なんかもわかりやすいですよね。人気のある映画はエンドロールが終わるまでお客さんが帰らない。お客さんが帰ってしまうようでは、まだまだ夢中にできていないのだと思います

日本人はストーリーで評価するところがありますからね。

中村:なるほど。

ということは、コンテンツにストーリー作りというのも入れていますか?

木谷:大事ですね。なんでもそうですが、スポーツもキャラクタービジネスなので、お客さんが試合結果を見に来ている間はダメです。

イベントを楽しみに来ないと。

もっと深く入っていくと、人物のキャラクター、背景も見てもらって、固定ファンになっていきますね。

バンドリ!は楽しいですよ。あんまり似たコンテンツがないので。

中村:競合が少ないというか、ないに近いかもしれないですね。

「Poppin'Party(ポッピン パーティ)』、「Roselia(ロゼリア)』において、さらに競合を出さないための秘策

Poppin'Party
Roselia

木谷:さらに競合を出さないために、2つのバンドの練習費だけで、300万円かけています。10人の先生が必要で、さらにスタジオ代がかかるので。

年間3600万円ですよね。そんな稟議どの会社でも通らない、それが大事です。

真似しづらいということは、自分たちのペースで走れるということでもあります。

自分だけが越えられる壁を作るのが大切です。他人には越えられないけど、僕だけは越えられる。

中村:なるほど!

たしかにそれはなかなか真似がむずかしいですね。

木谷:実は女性の方が勝負に真剣になるんですよね。

ヴァンガードのようなカードゲームをやってもらうと女性は強いですよ。

声優さんで比べてみても女性の方がすぐ強くなります。

女性は目の前の勝負に負けたくないんだと思います。

女性の格闘技は技術よりも気持ちで差が出ると聞いたことがあります。

男性は気持ちより技術ですよね。

だから、短期間で楽器がうまくなるのは女性ならではという感じがしますよね。

カタにはまると成長が早くわかりやすいのは女性です。