スウェーデンのヒット作を鬼才フィンチャーがリメイク
全世界で2000万部以上を売り上げたスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作が、鬼才デヴィッド・フィンチャーの手で映画化される。
その1作目が『ドラゴン・タトゥーの女』だ。小説の生まれ故郷スウェーデンでもすでに映画化され、字幕を嫌うアメリカでも、原作のファンが劇場に足を運んで成功を収めただけに、フィンチャーにも、比較されることへの覚悟はできている。
「比較なんかされないだろうと一瞬でも考えたとしたら、それは世間知らずというものだよね。でも、僕は、いつだって脚本ですべてを判断している。人が僕にどんな映画を作ってほしいと思っているのか、どんな映画を作ることで僕は自分の違う側面を証明できるのか、などという判断基準で作品を決めたりはしないよ。脚本はもともとスウェーデン版の映画と全然違っていた。それに、たとえ同じ脚本でも、5人の監督に渡したら、5つのまったく違う映画ができるものだ。もちろん、共通する要素はある。
あの橋は登場するし、あの事故もある。タトゥーもある。だけど、ストーリーを語る方法はとても違う。だから、この素材を手がけることに抵抗はなかった」
フィンチャー版は、もちろん英語。だが、舞台は原作のままスウェーデンにとどめた。
「いざスウェーデンに行って周囲を見渡すと、この映画はスウェーデンでなければダメだと感じるようになった。この物語は、田舎と都会両方の雰囲気、そして気楽なようで実は活発な社会構造を舞台にしているからこそ成り立つんだ。この場所だからラーソンはこの小説を書けたんだよ。ストックホルムで2、3週間を過ごすうちにシアトルやコネティカット、モントリオールなどで撮るのはありえないという結論に至った。その確信は今も強まるばかりだ」
デヴィッド・フィンチャー(David Fincher)
近年、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』でヒットを飛ばしたフィンチャー。『セブン』『ファイト・クラブ』『ゾディアック』などで発揮したクライム・サスペンスでの手腕に、世界中の期待が集まる。