このところ、いわゆるミラーレス機の人気に押され気味のデジタル一眼レフだが、今年のCP+では注目機が登場している。高画素や高速連写が魅力の中・上級機のニューモデルだ。ここでは、そうしたデジタル一眼レフを中心にご紹介しよう。
●ニコン
2月7日に「D800」を発表したニコンは、フラッグシップ機「D4」とのフルサイズ2大体制を前面にアピールしていた。
有効3630万画素という、35mmフルサイズセンサとしては史上最高の画素数を誇る「D800」。実勢価格はボディ単体で30万円前後とあって、アマチュアにも手が届くと早くも人気沸騰の様子だ。ただし、ここまで高画素になると、レンズ性能や手ブレにも気を配らねばならない。ハンズオンコーナーの係員は、「周辺画質を確保するには、できれば最新のナノクリスタルコートのニッコールレンズを使ってほしい」と説明していた。
光学ローパスフィルタの効果を打ち消す仕組みを搭載した「D800E」も、実機を手に取ることができる。「D800E」は、光学ローパスフィルタを取り去ったわけではなく、フィルターの構成を変えることで、レンズが取り込んだ光をフィルターレスに近い光線状態にしているのだが、その仕組みについてもわかりやすい解説を聞くことができる。製品発表時、ニコンは、「D800E」の販売量を「D800」シリーズ全体の1割か2割程度と予想していたそうだが、予約状況をみるとそれよりもはるかに多くなりそうだという。
一方、フラッグシップ機の「D4」は、これまでの「D3s」からさらに高速AFに磨きをかけた。とくにAFの最初の食いつきがより速く、確実になっているという。ステージ撮影体験では、「D800」と「D4」でステージ上のモデルを撮影できるが、動き回るモデルを追いながらピタリとAFが合う「D4」には驚くばかりだ。
●キヤノン
昨年、フラッグシップ機の「EOS-1D X」を発表したキヤノン。CP+開幕に合わせて、待望の「5D Mark III」が発表になるのではないか、いや「EOS Kiss」の後継機が登場するらしい、など噂が絶えなかったが、デジタル一眼レフに関しては新たな発表はなかった。しかし、ブースではハンズオンコーナーとステージ撮影体験の両方に「EOS-1D X」を用意して、有効1810万画素の35mmフルサイズセンサでAF追従の秒12コマ連写を体験することができるようになっている。
また、9年半ぶりのリニューアルとなる大口径標準ズームレンズ「EF 24-70mm F2.8 L II USM」も、実物を手に取ることができる。旧モデルよりもレンズ口径は大きいのだが、全長は短く、軽くなっているので、全体的にコンパクトになった印象だ。手ブレ補正機構については、「搭載すると大きく、重く、価格もさらに高くなってしまうので見送ったが、周辺画質のアップには注力した」という。標準価格は24万1500円もするのだが、実物に手にすると、かなり物欲をかき立てられる魅力的なレンズだ。
●シグマ
CP+開幕前日の2月8日に、デジタル一眼レフカメラ「SIGMA SD1 Merrill」と、コンパクトデジタルカメラ「SIGMA DP1 Merrill」「SIGMA DP2 Merrill」の開発を発表したシグマ。残念ながら「SD1 Merrill」と「DP1 Merrill」は展示ケースの中で、触ることができないが、「DP2 Merrill」は稼働する機体を手に取ることができる。まだまだ開発途上の機体とのことだが、撮影もできる状態なので、完成は意外と早いのではないかと期待がもてる。「SD1 Merrill」のほうは、スタッフによれば「『SD1』と機能的な違いはないので、早く発売できるかもしれない」とのことだ。
「SD1」は、発売時70万円を超える価格だったが、シグマでは、「SD1 Merrill」は20万円前後での発売を明言している。この価格差を埋めるべく、初代「SD1」ユーザーに対して、レンズ購入などに使える40万円相当のクーポンを発行するというシグマの対応は、ネット上でも賞賛の声を集めているようだ。
●その他のメーカーのブースの様子