ユースケ・サンタマリア(C)エンタメOVO
テレビで生放送中のクイズ番組の決勝戦。賞金1千万円を懸けた最終問題に、挑戦者の本庄絆(神木隆之介)は“一文字も聞かず”に正解する。前代未聞の事態は世間を騒がせ、本庄は姿を消す。番組の総合演出を務めた坂田泰彦(ムロツヨシ)は、生放送でその検証番組を放送。本庄に敗れた三島玲央(中村倫也)は、そこで本庄の神業に隠された真実に迫っていくが…。
第76回日本推理作家協会賞を受賞した小川哲の傑作ミステリー小説を映画化した『君のクイズ』が5月15日から公開となる。劇中、本庄の神業にヤラセ疑惑を抱き、検証番組に立ち会う雑誌記者・片桐俊作を好演しているのが、映画やテレビドラマ、バラエティー番組まで幅広く活躍するユースケ・サンタマリア。公開に先駆け、撮影の舞台裏を語ってくれた。
-謎解きの面白さに加え、骨太な人間ドラマを内包した鮮やかなミステリーでした。オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。
最初にお話を伺ったときは、クイズ番組が題材のミステリーが面白そうだなと思いました。『沈黙の艦隊』(23)の吉野(耕平)監督とまたご一緒できることもうれしかったです。
-ユースケさん演じる雑誌記者の片桐は、クイズ番組で“問題を一文字も聞かずに正解した”本庄の神業にヤラセ疑惑を抱き、後輩記者の田代由紀(白宮みずほ)と共に、対戦相手の三島が出演する検証番組に観客の一人として立ち会い、謎の真相に迫っていきます。演じる上で、どのような役だと捉えていましたか。
長年雑誌の記者としてキャリアを積み、酸いも甘いもかみ分けた大人ですよね。ある意味、枯れたところもあり、実は切れ者なのに、普段は口八丁手八丁でやり過ごし、ひょうひょうとしてつかみどころがない。『沈黙の艦隊』でも似たような立ち位置の役を演じていたので、吉野監督がそれを見越してキャスティングしてくださったのかなと。監督から特にお話があったわけではありませんが、演じる上では、緊張感のある物語の中に、ふわっとした風を吹き込むムードメーカーのような役割を求められているのだろうと考えていました。
-現場では三島役の中村倫也さんを見守る形だったと思いますが、中村さんの印象はいかがでしたか。
今回の撮影は、本当にテレビ番組を収録するような形で、スタジオに本格的なセットを組んで進められました。だから、ずっと観客席のエキストラの方たちから注目されていた倫也くんは、普段の撮影よりもストレスを感じていたと思うんですが、いつも通りに振る舞っていて。それがすごいなと。
-いつも通りというのは?
彼は普段、ひょうひょうとして冗談もよく言いますが、仕事に関してはすごくまじめな人で、普通の人なら見過ごしそうなところまで気を遣いますし、芝居は常に全力でやる。僕は舞台でも彼と共演したことがありますが、常に全力なんです。相手が力を抜いていると、すぐに見透かしていたし(笑)。もちろん僕も手を抜いているわけではありませんが、彼の姿を見ていると、仕事に対してとても誠実な人だなと。
-そういう中村さんを見守る観客席で、ユースケさんはどのように過ごしていたのでしょうか。
僕も以前、お客さんが観覧するクイズ番組に出演したことがありますが、観客席の方がどれだけ大変だったのか、自分で座って初めてわかりました。身動きは取れないし、トイレに行くのも簡単じゃない。たとえば映画館なら、どんなに座り心地のいい椅子でも、二時間を超えるとトイレに行きたくなりますし、体を動かしたくなってしまいます。そう考えると、映画館ほど上等な椅子ではないスタジオの観覧席に長時間座っていることが、どれだけ大変なことか。といっても、僕以上に大変だったのは、倫也くんの方です。だから、泣き言を言っている場合じゃないなと。でも、お尻が痛くてクッションを発注しましたけど(笑)。
-その大変な現場を、どのように乗り切ったのでしょうか。
気分転換に、隣にいたみずほちゃんや周りのエキストラの方々と雑談をして過ごしました(笑)。みずほちゃんは聴き上手で、エキストラの皆さんも僕の他愛のない話に毎回いいリアクションをしてくださって(笑)。おかげで、長時間の撮影を楽しく過ごすことができました。もちろん、カメラが回っていない時の話ですよ(笑)。
-吉野監督とは『沈黙の艦隊』に続き、2度目の顔合わせとなりますが、印象はいかがですか。
吉野監督は、僕のお芝居のアイデアを喜んで受け入れ、フレキシブルに対応してくださるんです。僕に限らず、皆さんがアイデアを出すのを待っているようなところもあって。おかげで、一緒にものづくりをしている気分が普段以上に味わえるんです。そういうところが、僕は大好きで。しかも、撮影が長時間続いてどんなに疲れていても、吉野監督はいつもニコニコしているんです。かといって、お喋りな方ではないので、それほど雑談をするわけでもありませんが、それでも一緒にいて間がもつ。それくらい、僕にとっては相性のいい監督です。
-本作でもユースケさんは吉野監督の期待に応えていましたし、お二人のコンビは今後も続きそうですね。
吉野監督は『ハケンアニメ!』(22)や『沈黙の艦隊』シリーズ(23~)など話題作を続々と手掛け、今最も勢いのある監督のお一人です。この作品はいうまでもなく、これからもきっと面白い作品を撮ってくださると思うので、ぜひ今後も機会があれば、ご一緒させていただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)
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