――どこの国の戦車が好きですか?
中村:私は日本とドイツの戦車が好きです。『フューリー』を観たあとに日本戦車をみたらもう、「なんだこの儚げな戦車は」と感じると思います(笑)。戦車は、軽戦車と呼ばれるものから重戦車と呼ばれるものまで大きさもまちまちで、イタリアでは2人乗ってぎゅうぎゅうのものもあるんですよ。車よりちっちゃいんです。私はけっこう小さきものが好きで。それかドイツ戦車のような王道の典型的にカッコイイもの、どちらかですね。
――ミリタリーに詳しくない人には今回のプレミアム・エディションの特典の凄さがよくわからないと思うのですが、この特典は中村さんにとっても魅力的ですか?(※プレミアム・エディションには、月間「アーマーモデリング」完全監修による軍事有識者の超豪華解説書が付きます)
中村:戦車好きな人にとっては、この特典のために買ってもいいくらいです!
「アーマーモデリング」編集者の浪江俊明さんもブックレットを作ってらっしゃるそうなので、もう細かい字でぎゅっと入れた特典と聞いています。戦車や軍事を学べる参考書にもなるくらいの特典です。私はシャーマン戦車はあまり詳しくないので、そのブックレットを見て、シャーマンの知識を深めつつ、また本編を観たいです。
――どんな方に観て欲しいですか?
中村:あえて女性に観て欲しいです。どんな感想を持つのか知りたいですね。ブラット・ピットが主演というところで観に行く方はいらっしゃるにしても、おそらく女性が好きなブラット・ピットの役ではないと思うんですよ。
どちらかと言うと、男の人がカッコイイ、渋い、と思うようなタイプの役。なので、そういったものが女性の目にどう映るのかな、と気になります。また、戦車に注目したことがない人がほとんどだと思うので、そういう人にも観て欲しいです。
――確かに戦争映画を観て戦車に注目することってあまり無いですよね。
中村:戦車は攻撃っていう部分ももちろんありますけど、この5人を守っているものでもあって。“フューリー”のことを“家だ”と言っている場面もあるので、戦車のイメージが変わるのではないかと思います。
――ミリタリーファン目線で、観て欲しいポイントや小ネタとかはありますか?
中村:主人公のドンが持っている銃が「あれ?」っと思いました。単純に、アメリカ軍の支給されているものと違うものを使っているんですよ。それがたぶん主人公のこだわりであったりなのかな、と思いました。あとは突撃銃のようなものも、たぶんドイツのものを使っていたり。
それはやっぱり映画のストーリーが始まる前までに、新しく入ってきたノーマン以外の人たちは、みんな長い間ずーっとヨーロッパで戦ってきているんですよ。だから戦利品とまではいかないですが、敵国の軍のものを使っているのが観ていて面白いかな、と思います。私も銃はすごい詳しいというわけではないのですが、ドイツの銃などが出てくると気になりますね。
ノーマンが女の人の家に入るときに持っていく銃があるのですが、それが日本の自衛隊でも使われているものだったり。「あれ見たことある」ってなるのがミリタリー好きの楽しみだと思います。
服装とかもみなさん違っていて、ノーマンは新兵なので、格好もまだ戦場にいる感じではない、その時代の一般的な格好をしている気がするんです。そういう個性が出ているのが面白いですね。
――ありがとうございました!
敵国の兵士から奪った武器を使うなど、現場のリアルさを感じるポイントまで語ってくれた中村さん。実はBlu-ray&DVDの特典映像でも其々のキャラの服装や武器についてもしっかり説明しているそう! 主人公のドンは兵士としてとてもキャリアが長いので、銃もクラシックなものを好んで、彼のキャラクターとして持たせている。また、操縦士のゴルドは敵の武器などを奪い自分のものにするという、各キャラクターの背景につても触れています。
映画本編を観ただけで彼らの背景や設定まで読み取る中村さん。かなり『フューリー』を楽しんでいます! 元軍人というキャリアをもつデヴィット・エアー監督の細かいこだわりが、ミリタリーファンも納得の作品になっているのではないでしょうか。でも戦車や銃の知識がなくても迫力のアクションと人間ドラマに胸が熱くなる傑作です。