ポイントは「トゥルーワイヤレス疲れ」?──オーテク 話題のUSB-C有線×ノイキャンイヤホンはどのようにして生まれた?

【私の音を聴け!・02】完全ワイヤレスイヤホンが主流となった今でも、有線イヤホンには根強い人気があり、中には、独自の進化を遂げているモデルもある。オーディオテクニカが2024年12月に発売したのはUSB Type-C接続を採用しながらノイズキャンセリング機能を搭載した有線イヤホン。そんな特殊なモデルが誕生した背景について、担当者に取材した。

コロナ禍前からUSB-C有線イヤホンの開発をスタート

話を聞いたのは、商品戦略部 グローバルプロダクトマネジメント課 ライフスタイルオーディオグループの永山優香さん。さっそく話を聞いてみよう。

(以下敬称略) もともとは、USB Type-C有線モデルの開発が大元になっています。皆さんもご存じの通り、イヤホン市場は今、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)がメインストリーム。当社ではそんな中でも、有線イヤホンのニーズが一定数残り続けているという考え方のもと、製品を展開しています。

有線でこれまで一般的だったのは3.5mmのステレオミニジャックです。しかし、最近のスマートフォンではミニジャックを廃止し、Type-C端子のみを搭載するメーカーが増えたことで、USB Type-Cイヤホンの需要が高まりました。

そうして2021年に発売したのが、初のUSB Type-C有線モデル「ATH-CKD3C」でした。もともと、コロナ禍に入る前からUSB Type-Cイヤホンの試作を進めていたため、リモートワークが急速に広がる中、いちはやく製品を投入できたことで、シェアを獲得できました。

TWSは意外と面倒 「トゥルーワイヤレス疲れ」に着目

まず、着目したのは「トゥルーワイヤレス疲れ」です。

はい。これは私たちが勝手に定義したことではあるんですけど(笑)。

TWSって意外と「煩わしいな」と思う瞬間も多いと思うんですよ。

例えば、充電が切れていると使えないですよね。そして接続性でも、音が途切れたり、音が遅延してしまったり、といったことが起こり得ます。最近はマルチポイント接続に対応したモデルもありますが、デバイス切り替え時にタイムラグが発生することもある。

リモート会議に参加するとき、結構ハラハラしてしまいますよね。

そうなんですよ。有線なら、遅延はないし、接続の安定性は高い。また、接続を切り替えるなら、つなぎなおせば良いだけ。気軽に使えるのが一つの利点なんです。

手に取りやすい価格でノイキャンを気軽に使ってほしい 有線だからの強みも

ノイキャンって、ユーザーからの需要が高い機能ではあるのですが、どうしても高価格帯になったり、ワイヤレスだけになったり、選択肢が限られている現状がありました。

ノイキャン機能をもっと気軽に使ってほしい。有線ならではの安定性と気軽さ、そして高いコストパフォーマンスを目指して「ATH-CKS330NC」を開発しました。

「コスパ・ノイキャン機能・音質」を両立すること、ですかね。中でも、周囲の音を遮断しつつ満足感のある音にする、音づくりの部分は一番時間がかかりました。特に「ATH-CKS330NC」は重低音を特徴とする製品。いかに迫力を残しながら、ノイキャンを機能させるか常に意識してきたところです。

一方で、最新モデルの「ATH-CKD7NC」では、有線の強みを発揮できた部分もありました。

このモデルは、アルミを精密切削加工して筐体を製作しています。アルミは振動を抑制し音質を高める効果があるのですが、TWSですと、金属が電波に影響を及ぼす可能性があるので、使用が限られることがあるんです。このアルミ筐体は、有線だからこそ実現できたといえます。

有線の快適性 再認識のきっかけに レトロブームも追い風

久しぶりに有線を使ってみて「快適だった」という声が多かったです。会議で使われることも多いみたいで、長丁場になっても途切れることがないのが使いやすいとか。

あとは、ENCマイクを搭載しているので、周囲のノイズを抑え、クリアな声を相手に届けられるのも選ばれるポイントだったみたいです。

USB Type-C有線イヤホンをコロナ禍に投入した頃と比べると、若い方の購入比率が上がってきましたかね。

少し前は、時代遅れのイメージを持たれる人もいらっしゃったかもしれません。しかし今では一周回って、有線がファッションやカルチャーの一部として取り入れられている。そういった市場変化を感じました。これも逆に今では珍しいかもしれませんが、ケーブルにクリップがついていて留められるのが良いという声もありました。

ちょっと驚いたのが「ATH-CKS330NC」のU字ケーブル。「左右の長さが違いますが、これ壊れてませんか」と問い合わせがあったくらいで(笑)。マイクが最適な位置に来るように計算して採用してみたんですが、今では珍しいみたいですね。

ただ、U型コードを歓迎する声も少なくありません。使用しないときは首にかけられたり、タイピング時にコードが邪魔にならないなど、他のモデルにも反映してほしいといった声もいただいています。

「ATH-CKD7NC」は発売直後から品薄状態が続いており、ユーザーにも好評をいただいています。「USB Type-C有線×ノイキャン」のモデルは、ノイズキャンセリングと音質の部分で、層を広げることができたのかなと感じています。

今後も、有線ならではの魅力を進化させていき、より多くのユーザーのライフスタイルに寄り添うような商品展開を続けていきたいです。

USB Type-C有線イヤホンに新モデルが登場

なお、オーディオテクニカは6月26日、USB Type-C有線イヤホン「ATH-CKD3C」のリニューアルモデルとなる「ATH-CKD30C」を発売する。カラーリングはブラック、ブルー、ブラウン、ホワイトの4色展開。

特徴は、絡みにくいウェーブコードと手触りの良い布巻きコードを併用した点。ハウジング部分もマットと光沢のコンビネーションに仕上がっており、ファッションアイテムとしても楽しめる仕様となっている。

マイク付きのリモコンでは、コンテンツの再生や一時停止、音量調整などが可能だが、イコライザーも設ける。ボタン一つで低音を強調する「Bass Boost」、通話時に相手の声が聞き取りやすくなる「Clear Voice」を切り替えて使用できるのだ。

価格はオープンで、公式オンラインストア価格は3190円。