農業と再生可能エネルギーの融合による新たな価値創出へ
JFE商事株式会社(代表取締役社長:祖母井 紀史)は、施設園芸農業における新たな太陽光発電の実証試験を開始しました。
本取り組みは、栽培ハウス構造体に太陽光発電パネルを吊り下げる当社独自の「垂直懸下式」を採用し、電気の地産地消を行い、農業の高付加価値化と脱炭素社会実現の両立を目指すものです。


■背景・目的
近年、農業分野ではエネルギーコストの上昇や担い手不足、更には地球温暖化に伴う作物の品質低下や収量減といった問題も発生しています。
こうした中、当社は「垂直懸下式」太陽光発電をいちご栽培ハウス施設内で活用し、地産地消型コンセプトの新たな太陽光発電の実証を進めます。実証においては、太陽光発電パネル設置のための追加フレームや架台等を必要としない「垂直懸下式」太陽光発電等により総合的なエネルギーコストの低減を図り、得られた低コストエネルギーで高付加価値な農業に取り組むことにより、就農人口増や食糧安全保障などの課題解決への貢献も目指します。
また、発電パネル影による高温障害対策、現状重油や灯油を使用している冬季暖房器具の電化による二酸化炭素排出量の削減、電気の地産地消による社会インフラコスト削減等への寄与も目指し、本実証試験を実施しています。
■取り組みの概要
茨城県のいちご農家hiko farm(代表:彦田真吾氏)の協力により実施しており、いちご栽培ハウス内に軽量で柔軟な太陽光発電パネルを設置し、自家発電した電力をハウス内の冷暖房や各種栽培管理に活用します。特徴は以下の通りです。
・ハウスの構造体を活用し、追加の架台等を必要としないシンプルな設置構造
・太陽光発電パネルの角度調整が簡便で、作物に好ましい日射条件を作りつつ発電
・発電パネル影による遮光で高温対策等の日射調整
・自家発電による電気代低減と環境負荷低減
■実証のポイント
本取り組みの主な特長は以下の3点です。
・鉄鋼関連企業である当社が農業分野に参入し、社会課題解決に挑戦
・特許技術を活用した差別化モデルの構築
・農家との協業による実践的な事業検証
経済合理性のある現実的な農法とするための課題は、設置コストの低減や生育状況に応じた発電パネル受光角度の最適化、発電に不利なハウス内設置においていかに多くの電力を得るか等であり、それらの実現性と妥当性の検証を行います。
■検証内容
【発電価値】地産地消型太陽光発電による経済性とエネルギー安全保障への影響
・シンプルな設置構造のメリットとハウス内発電によるデメリットの比較検証
・蓄電池が必要な地産地消型の妥当性評価
【農業価値】農業経営への影響
・付加価値の高い美味しい夏・秋いちごの生産
・周年栽培による設備稼働率と労働生産性の向上
・垂直懸下式を導入した際の総コスト
【環境価値】地球環境への影響
・「脱化石燃料農業ハウス」の有効性検証
・冬季暖房の電化に加え、化石燃料由来ではない炭酸ガスによる二酸化炭素供給で光合成促進
■今後の展開
当社は本事業を通じて、脱炭素社会の実現ならびに農業の持続可能性向上、電気の地産地消による送電インフラ負荷低減を目指してまいります。
■hiko farm 彦田真吾さんのコメント
農業は温室効果ガスを吸収することができる数少ない業界ですが、栽培中に化石燃料や電気を使用する工程もあり、地球温暖化対策の観点からはもどかしさを感じることがあります。また近年の高温による収穫時期の遅れや病害虫発生リスクの増加、豪雨などの極端な天候変化などの自然災害の激甚化にも悩まされています。
本取り組みは、再生可能エネルギーの活用により環境負荷低減に貢献するだけでなく、得られた電気でハウス内の空調管理等を行い、栽培環境を整え、よりおいしい作物をつくることができるのではないかと期待しています。
持続可能な農業の推進と、よりおいしい作物をつくるための技術開発に携われることに感謝し、真摯に取り組んでまいります。

前列左から2番目が彦田真吾さん
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