AORA 100 mini

「ポータブル電源が欲しいけれど、置き場所がなくて重くて持ち運べない」。そんな理由で購入をためらっている人は多いのではないだろうか。BLUETTI(ブルーティー)が2026年7月6日に予約販売を開始した「AORA 100 mini」は、まさにその悩みに応える製品だ。1004.8Whという十分な容量を備えながら、重量はわずか10.7kg。コンパクトな縦型デザインだから、部屋の隅にスッと収まる。日常の節電から防災備蓄まで幅広く使えると謳うこの製品を、実際に使って確かめた。

BLUETTIとはどんなメーカー?

BLUETTIは、09年に研究開発チームを立ち上げ、15年に量産化に成功という経歴を持つ。長年、大手メーカー向けにOEM・ODM供給を主軸として事業を展開しており、「BLUETTI」として独自展開を始めたのは19年のこと。自社工場でバッテリーセルの受け入れ検査から品質管理まで一貫して完結させている体制が、安全性の強みにつながっている。

AORA 100 miniは日本市場向けに展開する「AORAシリーズ」の最新モデルで、シリーズ内では最軽量・最コンパクトのポジションにあたる。発売されたばかりの新製品のため、BCNランキングなどの販売実績データはまだない。ここではスペックと実際の使用感から、この製品の立ち位置を見ていきたい。

置き場所を選ばない。四角いフォルムが生活になじむ

使ってみてまず感じたのは、想像していた以上にいろいろな場所に置けるということだ。玄関脇、ベッドの下、デスクの足元、キッチンカウンターの隅──縦290mm×横235mm×奥行215mmというスリムな縦型ボディのおかげで、部屋のどこに置いても圧迫感が少ない。

デザインもシンプルな直方体で、家具や家電のそばに置いても悪目立ちしない。天面が平らな分、上に小物を置けるのもうれしいポイントだった。ちょっとしたサイドテーブルのような感覚で使える。

カラーはミントグリーンとダークグレーの2色展開。BLUETTIによると、購入者の7割以上がミントグリーンを選ぶという。実物を見るとその理由がよく分かる。ポータブル電源というよりもキッチン家電に近い軽やかな印象で、リビングに置いても違和感がなかった。

動作音の静かさも印象に残った。充電中・給電中とも駆動音がほとんど気にならず、寝室に置いても睡眠の妨げにならない。

前面集中のポート配置で、使い勝手も上々

出力ポートが本体前面に全て集中配置されているのも、使いやすさに直結するポイントだ。AC×3口、USB-C(140W)×1、USB-C(65W)×1、USB-A(15W)×1、シガーソケット×1、DC5521×2の合計9ポート。壁際に設置しても裏側やサイドを確認する必要がなく、つなぎたいときにサッと接続できる。家族それぞれのスマートフォンやノートPCをまとめて充電しても、ポートの取り合いになりにくい。

もう一つ気に入ったのが、本体上部の内蔵LEDライトだ。「明かりが欲しいならランタンを買えばいい」と思うかもしれないが、ランタンを複数台使う場合は話が変わってくる。筆者は車中泊で4台のLEDランタンを使っているが、使用後に全て充電するのはなかなかの手間で、タコ足の充電ケーブルでやりくりしているのが実情だ。

その点、ポータブル電源に照明機能が内蔵されていれば、ランタンの台数を減らせる上、充電の手間もまとめて省ける。白色光・暖色光・SOSモードの3種類を切り替えられ、実測で約11~12時間(※LEDライトのみ使用した場合の連続使用時間)の連続点灯に対応する。BLUETTI製品としては今回が初めてとなる、光の色を切り替えられるLEDライトの搭載だという。SOSモードはライトを点滅させて周囲に助けを求めるための機能で、停電や災害時に電源・照明・救助信号を1台でまかなえるのは心強い。

停電時のバックアップとしても使える

このポータブル電源は、常時置いて待機させておくだけで、停電発生から10ms(ミリ秒)以内に自動で電源供給が切り替わるUPS機能がついている。これなら作業中のノートPCやWi-Fiルーターが突然落ちることなく稼働を維持でき、水槽のポンプやペット用ヒーターなどの電源が瞬断されて困る機器も止めずに済む。

専用アプリ(Wi-Fi/Bluetooth対応)からは残量確認・電源ON/OFFの遠隔操作が可能で、災害警報の通知機能も搭載している。

日常の便利使いとして

アプリのリモートON/OFFは、防災以外の日常シーンでも地味に活躍する。AC出力に扇風機をつないでおけば、就寝前にわざわざ本体や扇風機のところまで歩く必要はない。ベッドに入ってからスマホを使い、好きなタイミングで消せばいい。アプリのタイマーと組み合わせた自動OFFも利用できるため、接続する機器次第でさまざまな使い方が広がりそうだ。

節電対策として

電気代の上昇が止まらない。政府の補助金も断続的で先が読めない中、ポータブル電源による節電への関心が高まっている。

基本となるのが、夜間の割安な電力で充電して日中に使う方法だ。BLUETTIの試算によると、東京電力の夜間割安プラン「夜トク8」(夜間31.64円/kWh・昼間42.60円/kWh、単価差10.96円/kWh)でAORA 100 miniを毎日充放電した場合、月間で約30kWh分・約331円、年間では約3964円の節約になるという(※同社試算による理論値。年360回の充放電を想定。電力プラン・使用状況により異なる)。

もちろんこれは充放電ロスを含まない理論上の数字で、実際の削減額は多少目減りする。それでも、契約している電力プランの昼夜の単価差が大きいほど効果は伸びる。まずは自分のプランの時間帯別単価を確認してみるといいだろう。

そして、節電効果をさらに高めるのが、別売りのソーラーパネルによるソーラー充電だ。深夜電力との違いは「そもそも電気を買わない」こと。充電コストがゼロなので、電気代がまるごと浮く計算になる。日中にためた電気でスマホやタブレットの充電、夜間の間接照明などをまかなえば、電力を「太陽光で自給自足」できる。自宅のベランダを小さな発電所に変える感覚だ。

もっとも、本体価格を節電効果だけで回収しようとすれば長い年月がかかる。ポータブル電源はあくまで停電への備えが主役で、節電は「使いながら備えることで維持費を返してくれる」おまけと捉えるのが現実的だろう。乾電池や非常食のように使わないまま期限を迎える備蓄と違い、日常で働きながら電気代を少しずつ取り戻してくれる――そう考えると、この製品の立ち位置がしっくりくる。電気代が上がり続けるほど、この「おまけ」の価値も年々大きくなっていく。

アウトドアでも活躍

家庭での日常使いが本来の推奨スタイルだが、10.7kgと片手で持てる重さなので、車中泊やキャンプなどのアウトドアに持ち出すのにも現実的な選択肢になる。別売りのソーラーパネル(最大350W入力対応)と組み合わせれば日中に発電した電気を夜までためておけるし、「Charger 1」(別売り)を使えば、ドライブ中にオルタネーターの余剰電力で充電でき、AORA 100 miniとの組み合わせでは最速で4時間ほどでフル充電になる。なお、一般的な車のシガーソケット経由の充電は数十W~120W程度にとどまることが多く、10時間以上の充電が必要となる。

「長く、安心して使える1台」を選ぶということ

AORA 100 miniの本当の強みは、コンパクトさだけではない。LFP(リン酸鉄リチウム)電池による6000サイクル・約16年(※1日1回フル充放電を行う前提で算出した試算データ)という電池寿命は、同価格帯の一般的なポータブル電源(3000回程度)と比べると頭ひとつ抜けている。50項目の安全保護機能と20項目の安全試験をクリアした「PowerArmor」が発熱や自己放電を極限まで抑えており、長期間充電せずに置いておく防災備蓄としても安心して使える。

安全性についても配慮されている。最近はモバイルバッテリーの発火・発煙事故がニュースを賑わせることが増えた。筆者は以前、使っていたポータブル電源から煙が上がった経験がある。だからこそ、ポータブル電源の安全性は特に厳しくチェックしている。特に毎日リビングに置いておくものは、安全性に関して絶対に妥協したくない。BLUETTIのように自社でセルレベルから検査体制を持つメーカーを選ぶことは、スペックの数字以上に重要な判断基準だと感じている。

アフターケアも充実している。本体3年保証と国内正規サポート体制に加え、使用済みバッテリーの無料回収サービスも実施。購入時から手放すときまで一貫して面倒を見てくれる体制は、長く使う製品だからこそ大切なポイントだ。

なお、定格700W(電力リフト機能で最大1,400W)という仕様は、全ての家電をカバーするわけではない。800W~のエアコンや1200Wクラスの電子レンジには対応できないケースがある。幅広い家電をバックアップしたいなら、出力1800Wを誇る上位機種の「AORA 100 V2」も選択肢になる。

「どうせ使わないかも」と思いながらも防災グッズを探している人、電気代が気になっている人、コンセントが届かない場所をなんとかしたい人にとって、AORA 100 miniは「とりあえず1台置いておけば、なんとかなる」という安心感を提供してくれる製品だ。長く使えて、安全で、困ったときに頼れる。家に1台あるだけで、日常にちょっとした安心をプラスしてくれるだろう。