安心して話せるための3つの約束
「子育てサロン」は、自分のなかにしまっておいた言葉に居場所を与えてあげる場所です。
子どものことや、子育てで気づいたことなど、比較的ライトなことを話す人もいますが、なかには誰にも言えなかったことや、つらかったことを打ち明ける人もいます。
他の参加者は静かにそれを聞いています。
「子育てサロン」を開くにあたっては、誰もが安心してその場にいられるための「3つの約束」があるからです。
1「アドバイスや批判はしない」
ただ話を聞いてもらいたいと思って、夫や友人に思っていることを打ち明けた時、思わぬ意見や助言が返ってきて、「そんなことを言ってほしくて言ったんじゃないのに・・」と後悔したことはありませんか?
話を聞いてくれた相手にも、自分の思ったことを言う権利はありますが、ここでは、それはなし。それぞれの番がくるまで、黙って人の話を聞きます。
2「ここで聞いたことは他言無用」
子育てサロンでの出会いは一期一会。聞いたことを、ここだけに留めて外には持ち出さないとお互いに約束することで、より安心できる場になります。
3「黙っていたかったらそれもOK」
もやもやした気持ちがあっても、それを言葉にできない人、また口に出してはいけないと思い込んでいる人もいるでしょう。
しんどい気持ちに気づいてすらいないため、自分の番が来てもなにも言えない人も。
そんな時は、無理に話さなくても大丈夫。それもあなたの自由です。
子育てサロンは他にはあまりない、特別な場所です。
筆者も2回参加してみたのですが、不思議なことに気づきました。
約束の通り、誰も意見や助言をしないにもかかわらず、自分の発した言葉でなにかしらの気づきを得ていく人が何人もいたのです。
もしかしたら人は、自分のはっきりしない気持ちにぴったり合う言葉を見つけることが出来さえすれば、解決の糸口が見えてくるのかもしれません。
話し始めた時はわからなくても、話し続けるうちにだんだんと気持ちが整理されてくることってありますよね。
また、他の人の話を聞くうちに、自分のケースとの類似点を見出し、気づきを得る人も多くいるそうです。
ひとりで悩んでいたことも、同じようなことで悩むのは自分だけじゃないとわかれば、気持ちの上でずいぶん楽になるに違いありません。すぐに解決しなかったとしても。
ママが本当に求めているもの
先日、妊産婦の死亡原因の1位が自殺という、ショッキングなニュースがありました。
報道によると35歳以上や初産の女性の割合が高かったそうですが、彼女たちが初めての子育てで社会から疎外されていると感じたであろうことは、想像に難くありません。
どうすれば彼女たちの自殺は防げたのか、その答えは簡単には出ません。
ですが、今後孤独な子育てを少しでも減らすには、子育て中のママを単に社会的弱者としてサポートするだけでなく、ママたち自身が元気になって、子育てを楽しめるようにすることが必要になのではないか、と感じます。
上尾市つどいの広場「あそぼうよ」のスタッフの中には、小さい子どもを持つ現役のママもいるそうです。その点も、先輩ママが運営されている他の子育てサロンとは違いますね。
子育て中というだけで社会の中で“おみそ”のように扱われるのではなく、仕事を与えられそれをやれることは、個人として生きることにつながり、ママに自信を与えるのでしょう。
同じことが、「あそぼうよ」の子育てサロンのなかで実現できているのかもしれません。一参加者だったママから、また別の動きが始まっています。