一日に何回も回す洗濯機。
シンクからはみださんばかりに積み上げられた汚れた食器。
子育て中のママの毎日は、まさに自転車操業です。
少し前にSNSで話題になった「生産性」という言葉。
もともとは政治家による「LGBTのカップルは子どもを産まないから生産性がない」という発言にあった言葉で、時代に逆行した価値観だと多くの人が違和感と憤りを覚えたようですが、冷静に考えて、「子どもを産む=生産的」という公式は成り立つのでしょうか。
8歳を筆頭に、3人のお子さんの子育てをしながらメディアで活躍中の和田明日香さんは「子育てはマイナスをゼロに戻すことの繰り返し」と、先日出版されたエッセイ『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)の中で、はっきり断言しています。
なるほど、たしかにプラスになることを期待しなければ、子どもや物事が思ったように進まないことにイライラすることも減るかもしれません。
それに、非生産的だからこそ、笑ってしまうような子どもの行動ってありますよね。
むしろそれは、形に残らない宝物で、子どもが大きくなった時にこそ、そのかけがえのなさを知ることもあるでしょう。
そういった宝物を見逃さないためにも、子育てで大事にしたいことは、社会や生産性とは無縁のところにあるのかもしれません。
和田明日香さんに、お話をうかがいました。
プラスのことはまず起こらない!
明日香さんに“子育てと生産性”について、お聞きしたところ、
「例の“生産性”の話ですよね…、子どもを産むことが生産性ということですが、産んでみたって、子育てに生産性なんて感じないですよ!
ほんとにプラスのことがほぼ起こらない、マイナスをなんとかゼロに持っていって一日が終わる…って感じですもん(笑)」
やっと寝てくれた…とほっとして眠りについても、翌朝になったら子どもが盛大におねしょしてくれたりするわけです。
子どもの数が増えれば増えるだけ、やることは増えます。
それを繰り返し、子どもはいつしかおねしょをしなくなり、手がかからなくなり、大きくなるわけですが、乳幼児期の数年が永遠に感じられてしまうことも、ありますよね。
子どものもたらすカオス
子どもがすることには、時にはため息をついてしまうほど面倒なこともありますが、もうわけがわからなくて脱力してしまうようなことをするのも子ども!
男の子3人に女の子1人のお子さんを育てているNさんの次男君(当時6歳)のエピソードをご紹介します。
持っているトランプが全部そろっていないからと言って、新しいのが欲しいという次男君に、新しいトランプを買ってあげたそうです。さっそく新しいトランプで、長男君とたくさん遊んだ次男君、翌日Nさんが目撃したのは、はさみで買ったばかりのトランプを切り刻んでいる次男君の姿…。
なぜ…言葉を失うNさんだったそう。
明日香さんの言う通り、「プラスのことがほぼ起こらない」とはこのことですね!
子育ては社会的な仕事?
子育てはかなりの労働で、心身共に疲れる仕事であるのにもかかわらず、いわゆるお金をもらう社会的な仕事ではないと思い込んでいるママは多いですよね。
明日香さんにそのあたりをお聞きすると、
「そうですね、社会的な仕事だなんて、ほんとに思えなかったですね」
特に、長女が生まれた頃は、子育てに専念している自分を、新卒で働きだした友人たちと比べてしまい、卑屈になってしまうこともあったのだとか。
バリバリ活躍している今はいかがですか? とお聞きしたところ、意外な回答が返ってきました。