完全にスペシャルなゲストとMONOBRIGHTのスーパーハイテンション

「完っ全にスペシャルな夜だよ!!!!!!」。時間的には完っ全に昼間なんだが、テンション上がりすぎて間違っちゃったんだろうからよしとしよう(笑)。duo MUSIC EXCHANGEのステージから思いっきり叫んだのは、MONOBRIGHTのボーカル・桃野陽介。桃野がそう叫ぶのも分かる。なにせ、この日の彼らのステージでは、キーボードに元BEAT CRUSADERSのヒダカトオルが加入して初となる作品『淫ビテーションe.p.』でカバーした『オードリー・ヘプバーン泥棒』を生み出した本人、ケラとの共演が実現してしまったんだから!一応説明しておくと、現在は劇団ナイロン100℃を主宰する、演劇界では確固たる地位を確立したケラ氏がキャリアをスタートさせたバンドこそ、80年代末~90年代にかけてのインディーズシーン、サブカルシーンを支えたレーベル・ナゴムレコードに所属していた有頂天。その有頂天の20年以上前の名曲を本人と演奏できるとあって、ステージから身を乗り出して客席に飛び込んでいきそうなほどエキサイトする桃野を横目に、「俺ね、こういうテンションだめなんだよ……」なんてつぶやきつつ(笑)、パンキッシュなビートに乗って有頂天ならではのキャッチーでどこかエキセントリックなメロディを歌うケラ氏も、間違いなくハイテンション!そして、この日のMONOBRIGHT自身のパフォーマンスは、記念すべき共演を実現させてくれた『YATSUI FESTIVAL』に多大なる熱気で敬意を送っているようにすら感じた。僕は頭の中、爆音を鳴らして──。1曲目『WONDER WORLD』の歌詞ではないが、エッジの利いたギター、ニューウェイビーなシンセ、ダンサブルなリズムなど多彩なエッセンスを混ぜ込みながら爆音を鳴らし、勢いの中に独特なクセのあるセンスを発揮して駆け抜けたアッパーなステージに、万雷の歓声が飛び交った。

南波志帆~NONA REEVESの師弟(!?)レポ

さてここからは、同時間帯に行われていた別ステージの模様をウレぴあ研究員・篠崎がレポートいたします。
南波志帆 photos by SUNAO HONDA
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   まずはMONOBRIGHTの裏でnestに登場した南波志帆。本番前から自然体でサウンドチェックをする南波嬢のかわいさにすでにクラクラしつつ、ライブが始まると「(裏で演奏中の)お世話になっている堂島先輩やノーナ先輩に負けないくらい、盛り上げて行きたいと思います!」とのMCどおり、想像以上にパワフルなパフォーマンスに驚かされました。今回はギターとキーボードを従えての3人編成で、キュートながら芯の通った堂々のボーカルで着実にオーディエンスを引っ張っていきます。個人的なハイライトは、南波自ら何かの機材(キュイーンとか不思議な電子音が出る箱)を操りつつ始まった『それでも言えないYOU & I』。ブリブリのベースが気持ちいいエレクトロ・ビートに乗せ、南波「♪甲子園球場行けば~、セイ!」客「♪行けば~行けば~、ヘイ!」というコール&レスポンスにシビれました(ちなみにこの曲はノーナ西寺さん作です)。ミディアム~バラードにも名曲の多い彼女ですが、この日はダンスナンバーを連打する完璧フェス仕様のセットリストで、nestを埋め尽くしたお客さんをガッツリ踊らせてくれました。
 
 
NONA REEVES photos by Yuji Honda
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 そこから急いでEASTに移動して、お次は“ノーナ先輩”ことNONA REEVESのライブ。この日EASTでは、レキシ→堂島孝平→ノーナという流れで進行していたのですが、実はドラムの小松シゲルとギターの奥田健介はレキシ~堂島のサポートで3アーティスト出ずっぱりというハードワークだったのです。そんな流れを受け、「レキシと堂島が呼ばれて、奥田と小松が駆り出されて、ノーナが呼ばれなかったら僕泣いてたね。ツイッターも辞めるか、別アカウント作ってたね(笑)」と漏らすボーカルの西寺郷太。でもこの日の満員のオーディエンスからの愛されっぷりを見れば、このフェスにノーナが呼ばれた理由は一目瞭然でした。
NONA REEVES photos by Yuji Honda
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 この日演奏された『FESTIVAL』という曲もそうですが、お祭りという場を鉄板で盛り上げつつも、ただ節操なしにアゲるだけじゃなく、音楽の豊かさやおもしろさや醍醐味をしっかりと伝えてくれる、得がたいバンドなのだなあと改めて感服。手練れのサポートメンバーを迎えた“ノーナ7”編成によるぶ厚い演奏(まあ演奏がうまい!)で、シティ・ポップ~ソウル~R&B~ロックなどをジャンルレスに横断する洗練されたサウンドをたっぷりと披露し、多幸感にあふれるステージを届けてくれました。