プロレスって、改めて面白いし、自由だ! そう思ったのは、2021年3月9日、後楽園ホールでDDTプロレスリングが開催した「ひらがなまっするフェス2021」を観戦している最中のこと。
若手プロレスラーたちが、現実の自分とは違う役を演じる面白さ
「“まっする”って何?」という方のために、まず「まっする」という興行についてご紹介します。「まっする」とはマッスル坂井さんが主催・旗揚げした、DDTプロレスリングの「マッスル」の新しい試み。
これまで「マッスル」には、数々のベテランレスラーや南海キャンディーズの山里亮太さん、芸人のクロちゃんなど、大物・有名人たちがゲスト参戦してきました。
一方で、「まっする」は「マッスル」とメンバーを総入れ替えした、と言っても大袈裟ではないくらい、大胆なアレンジを加えています。
若いレスラーたちを多数出演させている点に大きな特徴があり、マッスルから枝分かれした別シリーズ的な位置付けともいえるでしょう。
例えば、竹下幸之介に上野勇希、平田一喜、彰人、勝俣瞬馬、樋口和貞、翔太、渡瀬瑞基……(敬称略)。
彼らは「必殺技男子」「パイプイス男子」という、タイプの違う2チームに所属し、それぞれが独特な役名を持ち、リアルな自分たち(プロレスラーとしての自分たち)とは違う人物を演じます。
「まっする」の第1回目となる大会「まっする1」が開催されたのは、2020年1月27日。そのときから「まっする」は好評を博し、今回は実に4回目の開催となります。
芝居+歌+ダンス+プロレスが楽しめる「まっする」
「まっする」はプロレスのリングだけを使うわけではありません。大きなスクリーンもふんだんに使います。
「試合前や試合の合間に映像で魅せる」というのは、DDTの御家芸のようなもので、何度か観戦したことがある人は知っていると思います。
「ひらがなまっするフェス2021」でも例に漏れず、冒頭からパンチのある映像が投影されました。しかも、けっこうな長時間に渡って……!
しばらくすると、今回の「まっする」のキーパーソンが、数々の有名アーティストの作品に参加している、ミュージシャンのRAM RIDERさんであることがわかります。
そして、RAM RIDERさんの実家が、代々続くプロレス一家であり、RAMさんの父は人間国宝級の超有名プロレスラー、ホンダスティ・ローデスであると発表されます。
DDTやプロレスを初見の人が見ると、「え、そうなの?」と信じてしまうかもしれない、非常に作り込まれた世界観でした。
その後、必殺技男子とパイプイス男子が順に登場します。
これまで、必殺技男子はベビーフェイス(正義役)、パイプイス男子はヒール(悪役)でしたが、今回は必殺技男子がヒールターン、パイプイス男子がベビーターン……というように、両者がキャラ変に向けて動き出す様も見逃せません。
そもそも、彼らの役名自体が「ププッ」と吹き出さずにはいられない内容です。
さらに、歌やダンスも要注目! プロレスラーというと、元々身体能力が高い人たちなわけですが、プロレスができる人はダンスもうまくできるんだな、と感心もします。
ちなみに、振り付け指導は2016年、DDTのアイドルユニット「NωA(エヌ・ダブリュ・エー)」の振り付けも担当した、勝俣瞬馬選手が担っているといいます。
勝俣選手は必殺技男子の一員としても登場していて、演者と裏方、両方できるのもすごいです。