8月7日(金)より全国東宝系にて公開される『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』。木ノ葉の里に芽吹く次世代の忍者たちを描く今作では、シリーズ11作目にして初めて原作者の岸本斉史氏が脚本を手がける。
15年にわたる長い連載を終えた今、岸本氏はどんな思いを胸に映画の製作に臨んだのだろうか。脚本執筆の秘話を聞かせてもらった。
劇場版で描かれる次世代に芽吹く忍者たち
──ナルトたちの子ども世代が活躍する今作では、ボルトやサラダといった若い忍者たちが親世代とは異なる価値観を持つ存在として描かれているのが印象的でした。ハンバーガーショップに通い、携帯ゲーム機で遊ぶ彼らの姿は、忍者というよりもどこにでもいる現代の子どもたちのようにも見えますね。
岸本斉史氏(以降、岸本):そうですね。ナルトたちが子どもだったころは里が安定していませんでしたし、口には出さずとも忍者たちの共通の目標として「火影」や「上忍」「中忍」という存在があったのだと思います。
でもボルトたちが暮らす現代では平和になったこともあって、中忍や上忍になることに最初から意味を見出すことが難しいんです。忍者としての高みを目指すことよりも、友だちとの遊びや人間関係を充実させることに興味が行ってしまうんですね。
──そういった意味では《現代っ子的な忍者》とも取れるボルトたちですが、「やっぱり親に似ているな」と微笑ましく思える部分もありますよね。たとえばナルトは、少年時代に親がいない寂しさからイタズラをしていましたが、ボルトの場合は親に構ってもらえない寂しさからイタズラを繰り返しています。
岸本:そこはやっぱり親子なので似ていますよね。親がいないのといるのとで環境は違うのに、結局やっていることは同じという……(笑)。ボルトぐらいの年齢になってくると、「寂しいから一緒に遊んで」なんて恥ずかしくて言えないので、どうしても反抗的な態度になってしまうんです。