『静かなるドン』が令和の時代に帰ってくる――これまで何度か映像化されてきた人気任侠漫画が、伊藤健太郎を主演に実写映画化。5月12日(金)より前編・後編 各1週間にて連続公開される。
ヤクザ嫌いのヤクザの総長・静也(伊藤)が昼はカタギ、夜はヤクザとして二重生活を送りながら、さまざまな問題に立ち向かっていく姿を描く。いわゆる任侠ものと言われるジャンルだが、コミカルな場面も多く、静也の一筋縄ではいかぬ恋模様などもあり、素直に笑って泣ける物語となっている。
「二重人格を演じているみたい」と本人が言うように、昼と夜で違う顔を見せる静也をどのように演じていったのかを聞いた。また静也同様、伊藤が今、命をかけても守りたい大切なものについても明かしてもらった。
これまでとは全く違ったものとして観ていただけるように
――出演オファーを受けたときの印象を教えてください。
最初に監督とお会いしたときに、これまで何回か実写化されてきた作品ではあるんですけど、令和の、この時代にやるということで、古き良き『静かなるドン』の世界観も残しつつスタイリッシュさを入れたい、というお話を伺いました。
自分としてはそういう昔の作品に興味があったし、『静かなるドン』は、僕でもタイトルはもちろん、内容も知っているような有名な作品でしたから、それを自分が演じられることは素直にうれしかったです。
――そのときはまだ脚本はない状態でしたか。
はい。脚本はまだ全然できていなくて、プロットの状態でお話を伺いました。でも、その時点で「間違いない」って思えたので、出演させていただきました。
――監督から静也を演じるに当たって何かリクエストはありましたか。
昼と夜のギャップみたいな部分は思い切りはっちゃけてほしい、と言われました。そこは自分の中でもできる限りやりたいと思いましたし、クランクインするのが楽しみでした。
――先ほども少し話しに出ましたが、これまで何度も実写化されてきた作品でもあります。それぞれの年代の方に、それぞれの『静かなるドン』のイメージがあると思うのですが、プレッシャーはありませんでしたか。
自分が演じさせてもらうという情報が出たとき、多くの賛否の声をいただきましたけど、そこまでプレッシャーには感じなかったです。逆にこれまでとは全く違ったものとして観ていただけるようにしたいと思いました。
今回はぱっと見でわかるようにビジュアルも含めて、そこまで原作に寄せているわけでもないですし、今の時代に『静かなるドン』を作ったらこうなりました、というものをお届けしたいと思っていたので、プレッシャーよりはワクワクの方が強かったです。
――伊藤さん世代の方々は原作を知らない人も多いですし、新しいものとして受け入れられますね。
そうなったらいいなとは思っています。以前、『今日から俺は!!』という作品をやらせてもらったときに、親世代が知っていて、子供世代が知らない作品って面白いなって感じたんです。親からすると懐かしいけど、子供からすると新しいから「親子の会話が増えました」というような声もたくさんいただいて。
今回も「昔はこうだったけど、今やるとこうなるんだ」みたいなこととか、そういうギャップが提供できる、エンターテインメント性がある作品になったんじゃないかと思います。
――そうすると、今回は原作を参考にする部分もそんなになかったですか。
そうですね。ただ静也というキャラクターが何を大事にしているのか、というのは、時代が変わっても変わるものではないので、その部分は原作からの印象もすごく大切にしました。
――脚本を読んだときはどのように感じましたか。
令和っぽさという部分は映像にしてみないと伝わりにくい部分だったので、そこを感じるのは難しかったんですけど、やっぱり少年心はくすぐられると思いました。こういうの、男は好きだよなって(笑)。昼は情けない感じなのに、夜になるとバシッとキメるところは、演じるのが楽しみだと思いました。
――変身をするヒーローものに近い印象がありました。
あの白いスーツを着て、サングラスをかけるとスイッチが入るところは、ライダーとかレンジャーとかに近い感覚がありますね。