撮影/稲澤朝博

3月3日(金)より公開となる、高橋恭平(なにわ男子)が主演を務める映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』。

学校一のモテ男子“千輝(ちぎら)くん”(高橋恭平)と、人生初の告白に玉砕した真綾(畑芽育)との“片想いごっこ”を軸に、高校生たちの胸キュンラブストーリーを描く本作。板垣李光人は友人の真綾を密かに想いつつ、真綾の前に現れた千輝とライバル関係にある手塚颯馬を演じる。

最初は少女漫画の世界観を演じられるか不安だったという板垣だが、手塚というキャラクターを自分の中に落とし込んで作り上げたという。その甲斐あってか、映画の手塚は少女漫画らしい美しいキャラクターでありながら、より人間らしい感情も伝わってくる板垣だからこそ表現できた人物となっている。

本作への向き合い方から、共演をきっかけに仲良くなったという高橋とのエピソード、さらには大活躍だった二十歳の一年を振り返っての想いなどを語ってもらった。

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少女漫画の世界観に「不安は大きかった」

撮影/稲澤朝博

――原作を読んだときの感想を教えてください。

僕はこれまで少女漫画というものをほぼ読んだことがなかったので、今回のお話をいただいて初めてぐらいの感覚で読んだんですけど、なんかすごい世界があるもんだなと(笑)。

手塚は背景に星が出ているようなコマもあって、「大丈夫かな? これ(自分に)できるのかな?」って、不安は大きかったです。

なので自分のクランクインの前に、現場へ見学に行きました。全体の撮影が始まる前にあった陸上練習で、(高橋)恭平さんとか、お会いできたキャストの方は何人かいたんですけど、畑(芽育)さんにはお会いできていなかったり、とにかく不安で(苦笑)。普段はあまり(見学することは)しないんですけど。

――手塚のキャラクターについてはどう思いましたか。

この作品はいわゆる“胸キュン”映画で、2時間以内くらいの上映時間の中にはキュンキュンするシーンもいっぱい出てくるんですけど、その中でも手塚は、エンターテイメントとしての面白さや重さの部分をわりと担っているのかなと感じたんです。

千輝のライバルという立ち位置ではありますけど、真綾が手塚と千輝の間で気持ちが揺れ動くわけでもなく、手塚が一方的に真綾と千輝に対して大きな感情をぶつけるだけでもあるので、そういう人間関係や手塚の感情はこの物語を締める一つの要素になるのかなと。

作品全体のテイストを考えつつ、軽くなり過ぎないように、でも重くもなり過ぎないようにというバンランスは、手塚を演じる上では大事だと思っていました。

©2023「なのに、千輝くんが甘すぎる。」製作委員会 ©亜南くじら/講談社

――原作と映画では、手塚の印象が少し違っていると感じました。

実写化作品って、どのくらい原作に沿うかは作品ごとに違うし、逆に原作を意識し過ぎないようにする場合もありますよね。そこを踏まえた上で、今回は漫画を映画という2時間以内くらいのものにぎゅっとして届けるために、手塚がどういう立ち位置になればいいかを考えました。

どう振る舞えばより千輝と真綾の存在が立つのかとか、手塚の現在地を見失わないようにすることは大切にしていたことの一つかなと思います。

――その辺りで、新城毅彦監督とお話をしたことはありますか。

シーンごとに「こうした方がいいですか?」とかのお話しはさせてもらいましたけど、キャラクターに関して監督はわりと手放しというか、僕の思うようにやらせていただきました。