推し活はムダづかいの象徴?

あなたは「推し」がいるでしょうか。(知らない人はほとんどいないと思いますが、一応説明をしておくと、ゲームやアニメのキャラクター、声優や俳優、アイドル等を気に入り、強力なファンとなることを「○○推し」といいます)。

個人に限らず、作品そのもの、スポーツチームなどを「推し」としている人もいるでしょう。

「推し」がいる人は、応援のためにお金を使います。アイドルの握手会やアニメキャラの新作グッズにお金を投じたり、お金がかかります。

人によっては毎月のお給料の20%以上を推しに費やしていたりして、家計が危険な状態にある人もいるようです。

ハマっている人以外にとっては推しの世界、「ムダづかいの象徴」と見られています。

しかし、「推し」の存在はお金だけの問題ではありません。

推しがいることはその人の生きがいの一部となっており、推し活を楽しんでいる人は生き生きとしているという面もあるからです。

近年注目されているウェルビーイングにおいては、幸せを多様な視点から考えていますが、夢中になれるものがある人ほどウェルビーイングは高いという見方があります。

例えば、

Aさん「何も生きがいもない、毎日が繰り返しの日々。あ、でもお金は貯めているんですよ……」

Bさん「私の推しはあるプロレスラーです! シリーズごとに一度は後楽園ホールに生観戦に行きますが、スカッとします! 東京ドームのようなビッグマッチが年に数回あって、グッズを買うのも含めて楽しみにしています!」

という人がいたとしたら、どっちが幸せでしょうか。やはりBさんのほうですよね。

推し活は、お金を貢ぐようなイメージもありますが、実は自分自身の幸せや満足度を買っている行為でもあるわけです。

若い人たちの推し活、実は予算管理されていた!

先日、ちょっとおもしろい調査結果が話題となりました。「推し活予算はいくらくらいか」というアンケートの数字が出たのです(R&C株式会社のR&Cマガジンにおける「「推し活にかけるお金」の調査」)。

これによれば、推し活をしている人の平均予算は「月16605円」だったそうです。

多くの人が「え、それくらいの予算なんだ?」と意外に思うのではないでしょうか。推し活といえば5万円、10万円とお金に糸目をつけないイメージがあったからです。

調査結果はジャンルごとの予算や予算規模の分布なども調べているのですが、確かに予算が高額になっている人はいるものの、全体としては少数派でした。

多くの人は月5000円程度を意識しつつ予算をコントロールしていることも示されています。

ここでは推しのジャンルを13に分けていますが、金額が多い順に、俳優(舞台)、声優、YouTuber(インフルエンサー)、アニメ、マンガ、俳優(映像系)、ゲーム、J-POP アイドル、お笑い芸人、K-POP アイドル・韓流俳優、Vtuber・ボーカロイド、ミュージシャン・アーティスト、スポーツ選手となっています。

といっても2位から10位までは月2000円くらいの差なので、大きな違いはないようです。

観劇やコンサート等のライブ系イベントがある場合、どうしてもチケット代が生じるため、金額が高くなりがちのようです。

メリハリをつけて感動や経験を買うならば、推し活出費はOKです

あなたの推しが、あなたの生きがいとなって幸せや感動を与えてくれるのであれば、推し活出費は金額が高くなっても悪いことばかりではありません。

ウェルビーイング研究においては、私たちの幸福度は「モノを買う」ことより「経験や感動を買う」ことのほうが深く長く幸せを感じられるそうです。いわゆる「コト消費」です。

コンサートや観劇のようなライブ系イベントはまさにそれです。アーチストと直接触れあえる、握手会やチェキ撮影会などもダイレクトに感動を手に入れる方法となっています。

一見すると「ライブは数時間で終わってしまう」と思うわけですが、感動を心の中で何度も再生している人にとっては、感動は数時間ではありません。

むしろ「来月のライブのチケット取った! この1カ月は仕事がんばろう!」と思いながら元気に当日まで過ごし、「今日は最高だった! これで数カ月は生きていける!」と余韻を楽しむのが推し活の面白さです。

多くの場合、ライブイベントは毎月あるわけではありません。年数回くらいのイベントに高額出費をしたとしても年間平均として月2万円以下に納まることが多いのでは。

であれば、「月1万円+ボーナスごと6万円」くらいの予算感です。

これなら年に一度旅行に行くのと同じくらいになります。海外旅行に行く人と、推し活する人、実はそれほど出費が変わらないなんてこともあるわけです。

なんとなく気が引ける感じで推し活していても、気持ちはスッキリしません。

むしろ「これくらいなら、推し活出費に問題なし!」と自分なりの予算を決めてイベントに参戦すれば、感動や喜びはさらに倍増、あなたのウェルビーイングももっと高まっていくことになるでしょう。