昼と夜のギャップを出すこと

撮影/川野結李歌

――静也を演じる上で大切にしていたことは?

先ほども言いましたけど、昼と夜のギャップを出すことは大事にしていました。ギャップがあればあるほど、昼と夜、それぞれの静也が言うセリフをお互いが立てていくと思ったので。

演じる上では夜の静也より、昼の静也の方が難しかったです。どのくらいのテンションでいけばいいのか考えました。特に昼の静也の格好をしているときに、ヤクザの組織の人たちと会う場面は、見た目は昼間だけど、中身は夜なので。その逆のときもあって、それは難しかったです。

――その辺りの加減は山口監督と話ながら決めていったのでしょうか。

監督は「こういう感じなのでとりあえずやってみてください」というような、「まずはやってみよう」という方で。最初は自分で考えたものをやってみるというやり方でした。だから、昼の静也のときはよく「やりすぎです」って言われていました(笑)。

僕のやり方として、徐々に上げていくよりもまずは上げられるだけ上げて、そこからマイナスしていく方がやりやすいので。1回目はテンションマックスでやってみて、そこから引いていって帳尻を合わせるというスタイルで撮影しました。

撮影/川野結李歌

――昼の静也は思わず笑ってしまう場面も多かったのですが、何か参考にしたキャラクターなどはありましたか。

(映画)『マスク』の‎ジム・キャリーは意識しました。ちょっとそういうシーンもあって、そこではとにかく現場に居る人たちを笑わせようと思って頑張りました(笑)。

――夜の静也はあのスーツを着るとスイッチが入るような感覚でしょうか。

それもありましたし、周りの方々がもうそういうスイッチが入った状態で居てくださるので、その中に入ると自然と僕もスイッチが入りました。

©2023「静かなるドン」製作委員会

――衣装には何かアイデアを出されることは?

ありました。今回、衣装合わせは2回やっていて。最初はスーツが真っ白で、ポスターはそのバージョンなんですけど、劇中では白だけど真っ白ではない色のものを着ています。その方がリアルというか。

真っ白も正解ではあるんですけど、それだと本当にレンジャーのスーツみたいになってしまうから、もう少し現実感を出すために押さえた色味のものにしています。そういうところは話し合いをさせていただきました。

――あのスーツ姿は普通にカッコいいというか、おっしゃっている“令和感”があるなと感じました。

そこは考えていたところでもあります。シルエットもスッとしていて、サングラスも原作だと大きなスクエア型のものなんですけど、それも今の時代でカッコいいと思うものに変えています。