やつい的フェスの真骨頂!? サブカル編 

最後はサブカル編。実はそれこそ、中には音楽に入れるべきでしょうという方々もいるけれど、並べさせてください。YATSUI FESTIVALの真骨頂が感じられるはずだ。

一人目は、タイムテーブル上には名前が乗ってない人物としてケラリーノ・サンドロヴィッチを挙げよう。彼はふらっとMONOBRIGHTのライブに飛び入り出演して、その歌声を披露したのだが…その辺りの詳細は「音楽編」を見られたし! また、人気番組を多数手がける構成作家の倉本美津留は、独特の世界観で彩られたオリジナル曲を聴かせてくれた。彼は大槻ケンヂからYOU、峯田和伸ともコラボレーションをするなど、ミュージシャンとしての顔もあるのだが、この日はステージ上にひとり。ギター一本の弾き語りで、言葉を知悉している彼ならでは日本語詞は、聴く者に不思議な余韻を残した。

いとうせいこう photos by Yoshihiro Yoshikawa
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 そして三人目は、いとうせいこうだ。レキシのライブ肩慣らしをした後に行ったワンマンステージは、なんと全編ラップ。「こんなに立て続けにラップばっかりやるなんて二十数年ぶりなんだよ!」と笑いつつ、ジャパニーズラップの草分けとしてさすがのステージング。盟友・DUB MASTER Xと組んで(しかし打ち合わせはほとんどしてなかったそうだが)『ヒップホップの初期衝動』から『噂だけの世紀末』、『ヒップホップの経年変化』!

いとうせいこう photos by Yoshihiro Yoshikawa
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 さらにはかせきさいだぁを招き入れて(いよいよ打ち合わせがなかったそうだが)、「いいんだよ、この現場で作っていくフリースタイルな感じがヒップホップなんだよ」と『からっぽフレーバー』でコラボレーション。会場は大盛り上がりとなったが、いとうは「俺が2ステージ、かせきは3ステージだっけ? なんかやついにいいように使われてるような気がするよ(笑)」。なお、かせきさいだぁいわく「僕が控え室に入ったときにはやついくん、セーラー服を着てました」。応えていとう「俺が入ったときは、三国志の馬超だった。なんなんだよ、あいつは!」ということで…いよいよここからはやついいちろうの登場です!

まずは宮沢章夫とのユニット「平常心ブラザーズ」。といっても名が表すように、平常心を重んじる二人なのであってみれば、やることはいつも通りのトークショー。存分にユルい平常心ぶりを堪能させてくれた。しかし内容はといえば、先日亡くなられたエディター・川勝正幸さんの思い出話に、互いの共通点である喘息の苦労話、あとは思いつくままあっちへこっちへと、縦横無尽かつ特濃。申し訳ないことに、ほとんどがいろんな意味で明かすことができない内容ばかりだったのだが…そうそう。書ける話としては、最近Twitter上で宮沢と、友人の竹中直人との間で繰り広げられた“どっちがウソつきか”論争の検証が挙げられる。学生時代を振り返って、竹中は「宮沢の足が臭かった」とツイートしていたのだが、宮沢からすると「それは別のヤツのことなんだよ」。そこでやついは、宮沢がかねてよりエッセイなどで言及していた「竹中はいつも脇に食パンを挟んでいた」の真偽を追求。すると宮沢は「うん、あれは俺のウソだったっぽい(笑)」。そんなこんなで、なんだかすごく得した気分になったトークショー。もっともその「得」が、果たして何に活きるのかはよくわからないけれども。