東方神起
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オープニング映像――。ユンホとチャンミンそれぞれが、荒野に建つガレージで、クラシック スポーツカーに乗り込む。ユンホはブラック、チャンミンはレッド。対照的なふたりにぴったりの車に乗り込み、挑戦的な眼差しをたたえ、アクセル全開、急発進でガレージを飛び出した。猛スピードで荒野を駆け抜けると、ふたりはすれ違いざまに視線を合わせ急ブレーキ。そして、ユンホが「いくぞ」と目で合図を送ると、同じ道をともに走る。違う道を行くかもしれなったふたりが出会い、ひとつの道をともに。ふたりは、再び猛スピードで走りそのまま会場へとリンク。大きな爆音とともに、映像と同じクラシックカーに乗ったユンホとチャンミンがステージ上段の右左から分かれて登場した。(ちなみに、車のナンバーは「YH0206」「CM0218」。ふたりの誕生日を示す遊びゴコロを感じる数字だった)

高らかに鳴り響くファンファーレ。『Refuse to lose』の前奏とともに、車内からふたりは「Are you ready? I'm all ready I refuse to lose.(準備はいいか? 俺はとっくにできてる。負けてたまるか)」と繰り返す。首をひねり、人差し指をクイッと曲げ「かかってこいよ」といわんばかり。臨戦態勢バッチリで不屈の闘志を見せる。スタイルの良さが際立つ白いインナーに、ハーリキンチェックのジャケットをまとったふたりは、メインステージ中央へと歩みを進め、12人のダンサーと合流。勇壮なビートにのせて、力強いラップと勢いあるボーカルで会場を圧倒し、扇動する“双頭のイーグル(鷲)”。名実ともにトップに上り詰めた東方神起の姿は、威風堂々、迫力満点。これが「王者の貫禄」だ。パールレッドに埋め尽くされた会場はもう、この時点からドーム全体がまるで真っ赤な生き物みたいにひとつになって激しくうごめいていた。

高まったテンションをさらにあげるように、ディスコチューン『Spinning』でブラスサウンドが鳴り響く。魅惑的な女性に振り回される男性の状況を、甘く狂おしく歌い踊ってセクシーに表現するふたり。きらびやかでゴージャス感あるステージに誰もが釘付けになる。そして、メインステージの先に14人の男たちが等間隔に並ぶと、そこが浮き上がりブリッジへとチェンジ。中央を軸に約60メートルのブリッジが旋回し、なまめかしく踊る男たちをアリーナ中央のサブステージへと運ぶ。両サイドの先端にいるのはもちろん、ユンホとチャンミンだ。そして、サブステージで繰り出されたのは、まさかの『Why? [Keep your head down]』。もはや東方神起の代表曲ともいえるこの曲を3曲目にもってくるとは誰も想像できなかっただろう。会場全体が首をもたげるようにふたりにひれ伏す。今回のライブでの特徴のひとつにダンスブレイクでのアレンジがある。そのひとつがこの曲だ。ダンスブレイクに入る直前、真っ赤に染まった会場に、男たちをのせたセンターステージが浮かび上がり青い光を放つ。12人のダンサーが作る輪の中央にたたずむユンホとチャンミン。そして、14人の男たちは、一気に雄たけびをあげた。闘いに挑む戦士のような様で士気を高めるとキレキレのダンスで圧倒する。テンションが上がらないワケもなく、会場はのっけから熱狂の渦へ……。

ライブ前に「20代最後のツアー」と言っていたユンホ。概して、とかく若さがもてはやされがちだけれど、年相応の貫禄とエネルギーに満ち溢れたステージを目の当たりにすると、年を重ねることも楽しみに感じられる場面だった。