義経の片腕として知られる弁慶と聞けば、多くの人がその姿をイメージすることができるはず。しかし実は、『吾妻鏡』に名前の記載が2ヵ所あるだけで、素性も行状も不明。なぜ我々の知る弁慶は誕生したのか。

灘中高の国語教諭で、日本中世文学を専門とする著者が弁慶誕生の謎と背景を、室町時代に編集された義経の伝記『義経記(ぎけいき)』から読み解きます。そこに描かれるのは、あまりに自由奔放で魅力あふれる弁慶。胸がすくほどの痛快さが鳴りをひそめ、なぜ「忠義者」となっていったのか――。その社会的・文化的背景とは。藪本勝治著『弁慶 創られた豪傑』を9月28日(月)、新潮社より刊行いたします。



黒づくめの衣装に白い頭巾をかぶった僧兵。見上げるばかりの恐ろしげな巨体。太い腕に握られた大きな長刀。「弁慶」と聞けば誰もが同じように、その姿かたちを思い浮かべるでしょう。また五条大橋の上で千本目の刀を奪うため、牛若丸(義経)と対決し、敗れて家来になった名場面。義経を守るために体中に矢を受けて絶命したという「立ち往生」のエピソードなど、いつ知ったのかわからないほど私たちは弁慶のイメージを共有しています。全国には弁慶由来の伝承や遺跡が残り、彼の剛毅さを前提とした「弁慶の泣き所」「内弁慶」などことわざ・慣用句も当たり前のように使っています。しかし、ここまで日本人の意識に浸透している「弁慶」が実は実在しないかもしれない人物ということは存知でしょうか。日本中世文学を研究している灘中高の国語教諭・藪本勝治先生が室町時代に成立した『義経記』から、その謎を読み解きます。

【目次】

まえがき
序章 弁慶という虚像──イメージと史実
第一章 義経像の生成──弁慶誕生の条件
第二章 五条の対決──「遊ぶ」あぶれ者の分身
補講1. 伝承世界の弁慶
第三章 勧進帳──「戯れる」逃避行の庇護者
補講2. 舞台芸能の弁慶
第四章 立ち往生──「狂ふ」豪傑の自由の境地
補講3. 義経生存説と弁慶
終章 「室町ごころ」──弁慶と『義経記』生成の時代
あとがき

■書籍内容紹介

【『義経記』で読み解く「弁慶」の知られざる誕生と、その成長の意外な真実。】
義経の片腕として活躍した豪傑・弁慶と聞けば、多くの人がその姿をイメージすることができるだろう。しかし実は、歴史書『吾妻鏡』に名前の記載が二カ所あるだけで、実在したかどうかすら疑わしい。なぜ我々の知る「忠義者としての弁慶」は誕生したのか。『義経記』を精読し、歴史的・文化的背景を解き明かす画期的な一冊。

■著者紹介:藪本勝治(やぶもと・かつはる)

1983年、山口県生まれ。神戸大学文学部卒業後、同大学大学院人文学研究科に進み、博士(文学)を取得。2026年9月現在、灘中学校・灘高等学校教諭。専門分野は日本中世文学。著書に『義経記 権威と逸脱の力学』『『吾妻鏡』の合戦叙述と〈歴史〉構築』(いずれも和泉書院)、『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』(中公新書)など。

■書籍データ

【タイトル】弁慶 創られた豪傑
【著者名】藪本勝治
【発売日】9月28日(月)
【造本】新潮選書(四六判変型ソフトカバー)
【定価】(税込)1925円
【ISBN】978-4-10-603952-2
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/603952/
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