信頼される相談者になるには? 「聞く→問う→意見する」の順番を守ろう
――ここからは「相談力」について伺っていきたいと思います。まず「相談される側」としてはどのようなことを心がけておくべきでしょうか?
ジェーン・スーさん:私自身の話をすると、若い頃は相談内容を聞いた瞬間に、否定したり断定したりしていました(笑)。これはよくないです。でも、歳を重ねるにつれて、まずは相手の話を一生懸命聞くことで、悩みの半分は解決しているのではないかと感じるようになりました。
相談する側は「誰かに話したい」と強く思っているので、それを聞くことが一番大事なのかなと。ムリに共感する必要はありません。「ボールを受け取ってみる」イメージでしょうか。(1)じっくり話を聞く、(2)それを受けて質問する、(3)自分の意見を言う、といった順序を踏むのがいいと思います。
また、相談される側は「~してあげる」という気持ちはなくすこと。専門的な内容ではない限り、相談される側・する側に主従関係や上下関係ができるのは違うなと思うんです。いい答えを出してあげよう、一目置かれよう、頼りにされようなどとは期待せず、パワーバランスを作らないことも大切ですよね。
――よく相談内容としてあがるものといえば「恋愛」。中には「それ、ほとんど勝ち目はないでしょう?」とツッコミたくなるような相談をされることがあります。そんなときはどうすれば……?
ジェーン・スーさん:先日番組でも話しましたが、うちのリスナーにはなぜか「告白したがる人」が多いです(笑)。結果はどうであれ、自分の気が済むよう思いを伝えたいだけなのか、それとも相手と両想いになって付き合いたいのか、まずは冷静になって考えてと私は答えています。
にっちもさっちもいかないからといって、自分の思いをぶちまけたところで、相手がこちらの好意に気づいてない可能性もあるわけです。そんな人から突然告白されても、相手がOKをくれる確率は限りなく低いですよね。
たとえば、同じ相手に対して何度も告白するのはドラマにはなりますし、している側は気持ちがいいでしょうが、される側は迷惑だと思うんです。恋愛中は冷静さが失われて、視野狭窄になりがちなので「まずは冷静になってみて」と伝えるのがいいかもしれません。
――軽々しく言葉を返せないような、深刻な相談を打ち明けられることもあります。そんなときはどうすればいいのでしょうか?
ジェーン・スーさん:番組にも病気の話や旦那さまが川に飛び込んだ話など、深刻な相談が寄せられます。答え方は難しいですし、未だに「あの回答で正解だったかな?」と自信を持てないことも。でも、深刻な悩みを抱えている人ほど、まずは誰かに打ち明けたいという気持ちが強いです。そんなときに相談を受ける側が迷いなくできる唯一のことは、真摯に相談を受け止めることなんですよね。
まずは受け止めた上で、聞く。一言「大変だったね」と言われるだけでも、気持ちが楽になることは私自身も経験しています。よく犯しがちなミスは、相談を聞いてすぐに励ますことですが、簡単に励ますべきではありません。いくら励まされても、頑張れる体力や気力が残っていない人はたくさんいますから。