もう一つの理由は、鹿児島などで調達した材料の鮮度を生かすために、できるだけ材料の生産地に近い熊本でスープを仕上げたいという発想だ。

麻生さんは「完璧な味を実現するには、材料の原産地とできるだけ近いところで調理まで完結させるのがベストだと考えました」と話す。

そんなこだわりの詰まったラーメンが「醤油とんこつ」!

ビジュアルは、とろりとしたいかにも濃厚そうなスープ、のり、ホウレンソウ、チャーシューという定番家系スタイル。
 

テーブル上に置かれたトッピングはいたってシンプル

従来の家系ラーメンに比べて濃度が3~4倍というスープは「強いスープ」に変わるまで時間をかけて丹念に煮込んでいる。合わせる麺は、適度な歯ごたえとスープとのからみを考慮し、中太ストレート麺。

上大岡初の家系ラーメンの味はいかに? はりきって試食するマーコ氏。黙々と食べる、その眼差しは真剣だ。そして、それを見守る店長の眼差しも真剣そのもの。

筆者も試食させていただきました。
確かにダシの効いたスープはかなり濃厚! しかし、しつこさはなくペロリといけそうな勢い。麺も弾力があって美味! これは確かにやみつきになりそう! と興奮する家系初心者の私とは違い、冷静に分析を行うさすがのマーコ氏。

「やや塩味が控えめな印象。醤油ではなく塩を加えることで、しょっぱさと甘さのバランスをとることができると思うのですが……」とつぶやく。

そして試食を終えると、おもむろにボードとマジックを手にして★マークをぬりぬりし始めるマーコ氏。ということは、今回もやるのですね……。例の「マーコの本気コンサルチェック」。

心をこめて丁寧に塗ったり書いたりしているマーコ氏。関係ないが、えりあしが長い

マーコ氏が意外と地味にぬりぬりしている間、ライター・中原は麻生店長にいろいろなお話を聞かせていただく。

家系ラーメン店ではテーブルの上にすりおろしニンニクが置いてあるのが基本だというが、ここにはそれが見当たらない。その理由を尋ねると、こちらでは厨房でスタッフが生のニンニクを器具で潰して、ラーメンに入れてくれるそうだ。

そしてグラスは透明なプラスチックタイプではなく、アルミ製。これで通常のグラスよりも長い時間水の冷たさが保たれるそう。もしやこれも、ラーメンの味を引き立てるための秘策……?

「いや、テーブルの上に水滴がつくの嫌なだけです」

「……。(心中:ええ! ラーメンに関係ないんですか!?)」

とても真面目にお話ししているだけにつっこみづらい。

そうこうしているうちにマーコ氏のコンサルチェックが終了。その結果は……

★3つ獲得! なかなかの高得点。

「マーコの本気コンサルチェック」
(1)しょう油フックがガンガンに効いているが、いかんせんチー油の効きが弱いために、しょう油のしょっぱさが前面に出過ぎてしまっているところが否めない。

そのため、チー油を増やすことで甘みやまろやかさがプラスされ、全体のバランスが良くなることが予測されることから、チー油の量をあと10cc足したほうが絶対良い。

(2)家系ラーメンの場合、ライスを食べてもらうことでリピート(再来店)率が上がるため、ランチタイムは「半ライス無料」は欲しいところだ。
また、家系ラーメンとしては700円と高い部類に入ることも踏まえると、上記サービスは必須である。

(3)派手めな外観とは逆に、店内が暗いために活気感(=繁盛している感)が弱い。
基本的に1人で営業することも踏まえると、まずは店内の光の数やワット数を増やして、 活気感は上げたほうが良いであろう。

真剣にマーコ氏の意見を聞く麻生店長

マーコ氏のチェックに対して「ええ、本当に。今ご指摘いただいた部分は、自分たちも改善していきたいなと考えていたことばかりなので。参考にさせていただきます」と真摯に答える麻生さん。良い人だ。

ベースの味は守りつつも、今後はさまざまなアレンジを加えてオリジナルメニューも追加していく予定だという「ぱるぷん亭」。

ちなみに今お店で使用している野菜のほとんどは、麻生さんのお母様が戸塚区の畑で有機栽培した新鮮な物だという。そんな旬の新鮮野菜を味わえる「ぱるぷん盛」もオススメのメニュー。ラーメンだけじゃあ栄養が偏っちゃうかしら? と心配な方はセレクトしてみては?