藤谷:再結成の話もしたいんですけど、06年の末にいきなり再結成のニュースが出て、死ぬほどびっくりしませんでしたか?PCの前で変な声出ましたもん。あの頃はまだTwitterは一般的ではなかったからブログやmixiニュースとかで知ったのかな?

冬将軍:たしかカウントダウン的な意味深なサイトができて…。

藤谷:今でこそわりといろんなバンドが再結成して盛り上がってますけど、あの頃はそんな雰囲気でもなくて。メンバーはそれぞれの活動してたし。だから「一生見れることはないんだろうな」と思ってましたもん。

冬将軍:絶対再結成しないバンドだと思ってましたし、一回きりだと思いましたよね、最初は。

藤谷:それで07年の復活野音ライブですよ。

冬将軍:あれは完璧な再結成ライブだったね…。

藤谷:(無言で首を縦に振る)。

――ライブがですか?

冬将軍:演奏も魅せ方も格段に強力になってた。今でこそ色んなV系バンドが再結成してますけど、当時はやっぱり「今更、また化粧するの?」みたいなところもあったんですよ。メンバーもずっと、ノーメイクでパンキッシュなバンドをやって、V系とは無縁なところで活動していたし。でも、蓋を開けてみれば、演奏もビジュアルも大人の魅力プンプンで。これは若いバンドには絶対出来ないぞと。

藤谷:それで、アンコールの後に新曲の映像が流れて…みたいな。

冬将軍:その後リリースされたアルバム『LAZZARO』も完璧でした。(※正しくは『LAZZARO』は2007年3月14日発売、野音公演は4月22日でした。訂正してお詫びいたします)

藤谷:冬将軍さん『LAZZARO』の評価高いですよね…。

冬将軍:もうドアタマの『Kain』で幕開け、『dummy blue』から『XXX for YOU 』の流れで鳥肌立ちましたもん。なんかねー、ネオヴィジュアル系とか、ちょっとシーン自体がキラキラしてるところに、ダークな雰囲気でガッときて、「これだ!待ってました!」という。ヘヴィロック的なアプローチも入ってたし、すごく“今のバンド”になってたんですよね。もちろん、当時の延長にあるんだけど、不思議と懐古な感じはしなかった。

藤谷:聴かせる曲もあったじゃないですか。『月光』とかわたし好きですよ。

冬将軍:『MARIA』も。名曲揃いですよ。あと細かい話なんですけど、さっき言ったようにバンドが半音下げになって低くなったので、サウンドに重厚さが増した。と同時に、kyoさんのキィが昔より響くんですよ。いや、もちろんボーカリストとして強靭になったのもありますけど。さっきは、あまり上手くないなんて言っちゃいましたけど、今は、シャウトというよりも“がなる”っていうか、咆哮する虎のような鬼気迫る野獣ボーカルと、低音の艶っぽさの使い分けまで無敵です。

――4月22日にリリースされた『Spectacular Nite -狂おしい夜について-』は聴きましたか?

冬将軍:結構、あの頃を彷彿とさせるアプローチが強いなと感じました。CIPHERはBODYやCRAZE以降、ディストーションギターで「ガーッと行ったれ」みたいなところがスタイルとしてあって。復活後も割とその流れだったんだけど、近年、ギターの歪みを抑えてる傾向にありますよね。「狂おしい夜について」のような淡々とした雰囲気で、艶っぽい歌に、のたうち回るベースが絡みついて、ヒステリックなギターが耳にへばりつくように鳴ってる。この辺は『BASILISK』の頃の回帰感がありますよ。リズムの間、音の隙間がカッコイイ。最近のバンドは、みんなパワーコードで埋め尽くしてサウンドの厚みを持たせたがるから。大人の“弾かないカッコよさ”です。前作『#Sixx』でもそういう趣はありましたけど、もっとギラギラしてる。荒々しさもありますし。