カエルが大嫌い! しかし、勇気を振り絞って特別な“カエルモチーフメニュー”を食べてみた。
「もうどく展」の同フロアにある「オービィ横浜」 内のカフェでは、もうどく展の開催を記念してスペシャルメニューを味わうことが出来る。カフェの利用にはオービィ横浜の入場料が必要だが、お得なセット券があるのでぜひ利用したい。
キター!! 想像以上に大きい。足がお皿から元気良くはみ出している。食用ガエルを使っているそうだ。カエルが大っ嫌いな筆者にとっては、本当にツライビジュアルである。
あまりにリアルすぎるためか、作りものだと思って「これはどうやって作っているのですか?」と聞くお客さんもいるとか。
後ろからのアングル、筋肉がすごい……。横からのアングル、“足”感がすごい……。これでぴょんぴょんしてたんだろうなぁ。
意を決し「いただきます!」。ナイフを入れるとお肉はすんなりと骨から外れた。思い切って口に入れると、サクサクとした衣の奥に歯ごたえのあるお肉。固くはないが歯ごたえがあり、噛みしめるとお肉のうまみが出てくる。
先ほど見た同じカエルの仲間『ジュウジメドクアマガエル』のつぶらな瞳が脳裏をよぎり、一瞬『うぐっ』となったが、何とか飲みこんだ。
カエルという事を意識しなければ、大変美味しくいただける。ちなみに黒いバンズの下には鶏肉のフライも入っており、カエル肉との味わいの違いを楽しめる。
比較的大きいカエルちゃんが使われており、噛み応えもあるのでかなり胸がいっぱい……、いや、満腹感が得られる。
最近オシャレスーパーや、コンビニでも見かける『バジルシード』。瓶にツブツブがいっぱい詰まっている様子を見て、思わずぞくっとした経験があるが、お皿に出してもそのインパクトは健在。白い部分は杏仁豆腐、茶色い部分は薄く焼いたクレープを砕いたもの
産卵を終えて、岸に上がろうとしているカエルの姿がリアルに表現されている。この一皿に“命のつながり”が表現されていると言っても過言ではない!?
これらのちょっと変わったメニュー、想像以上にオーダーが入っているらしい。意外にも注文するのは女性が多いのだとか。数量限定のものもあるのでお早めに。
最後にサンシャイン水族館・次長、二見武史さんにお話を伺った。
大変だったことは何でしょうか?
二見さん:水族館以外でこうした展示を行うには、様々な準備や管理が必要となります。特に震災以降は耐荷重量などについて規制が厳しくなりました。水がこぼれないようにしたり、防水処理をしたりすることはもちろん、生き物たちの体調管理にも気をつけなくてはなりません。
今回扱っている中で、一番気を使っている生き物は?
二見さん:スローロリスです。元々私達は魚やエビ・カニが専門なので、まだ慣れていないということもありますし、哺乳類はまた世話の仕方が違いますから。薬の調合などは獣医さんにお願いしています。
ただ、常に滞在しているわけではないので、その日その日の状況をしっかり観察しています。少しの異変が重篤につながってしまう可能性もあるので、一瞬の変化も見逃せませんね。
あとはサソリです。ちょっと腰が引けてしまうところもありますが、それ以上に怖いのは生き物が逃げてしまう事です。
生き物は全部危険なのですが、今回は特に毒を持った生き物ですからね。人に危害を加える可能性もありますし、生き物自身が傷ついてしまう恐れもあります。一瞬で素早く逃げてしまうので、サソリなどのケースは万が一の場合を想定して二重になっています。
見どころについて
二見さん:“毒”自体は実は珍しいテーマではないんです。とはいえ、昔は今ほど流通が発達していなかったので、大体どこも同じような内容だったんですけどね。ただ、誰もが興味を持つテーマで、今らしい見せ方をしようということになりました。
同じ毒をテーマにしても、どういう風に興味を持ってもらうかが大切だと考えています。水族館を学習の場ととらえる人も多いのですが、学校のように勉強や情報を詰め込むいうより、水族館は生き物と出会うファーストステップの場所だと考えています。
どこで本物の生き物を見るかと言うと、圧倒的に水族館で見る子供達が多いのです。そこでは情報を詰め込むよりも、興味を持って楽しむきっかけになればと思います。
生き物は全部好きかと思いますが、今回の展示で特にお気に入りの生き物がいたら教えてください。
二見さん:カエルが好きです。あとはヒョウモンダコも可愛いですね。
カエルのメニューがありますが、食べることで心が痛みませんか?
二見さん:大丈夫ですよ。何度か食べたこともあります。僕は魚も好きですが、そんなこと言ってたら魚も食べられなくなっちゃいますからね (笑) 漁師さんの船に乗せてもらって、市場に出回らない魚を食べることもあります。
最初は怖いもの見たさだったが、展示を見るうちに毒を持つことの意味を考えるようになった。情報や映像はすぐに手に入る時代だが、実際に目の前で色々な生き物が動いている様子を見られるのは貴重な機会だ。
毒を持つ生き物たちは、エサを捕まえるため、自分の身を守るため。生きるために毒を持っている。怖いイメージもあるが、危害を加えたり、不用意に触ったりしなければさほど危険ではない。また、毒のある生き物に擬態することで身を守る生き物も多い。
生きるための毒、 むやみに怖がるのではなくきちんと知ることはとても大切だ。毒を持った生き物は危険だがとても魅力的だった。
2015.03.26 篠崎夏美