海外からのお客様や、現職のお坊さんまで来場。
6月のある日、私は普段ならば確実に降り立つことのない駅に興奮気味に降りた。クレープの香りと、やたらおしゃれな若者。そう、原宿である。
おしゃれな若者に「場違い感」を悟られないように足早に向かったのは、白い壁が印象的なギャラリー。そこはかとなく漂うサブカル感に一瞬怯むものの、中に進む。入り口には目当ての展覧会のタイトルがあった。
珍寺大道場 大博覧会
06.19[金]~06.21[日] / 東京都 / デザインフェスタギャラリー
原宿を歩くおしゃれな人々にはいささか刺激が強すぎるのではないかと心配になるタイトルである。
これは、珍妙な寺、つまり珍寺を愛する珍寺ラバーにとってバイブル的なインターネットサイト「珍寺大道場」を運営している小嶋独観さんが、満を持してリアルの世界に珍寺の写真コレクションを大放出することを試みた展覧会である。
日本やアジアの、ミステリアスかつユニークな神社仏閣を「珍寺」と称し、18年にわたりレポートしてきた「珍寺大道場」。その歴史の中で初めて、ネットの世界を飛び出したリアルイベントなのだ。
入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、会場の中央に据えられた小嶋独観さんの代名詞とも言える台湾・金剛宮の目から手が飛び出した「甲子太歳金辨大将軍」のオブジェや、カラフルでキュートな仏ドール。
どうやらグッズ売り場のようだ。その周りには仏モチーフのニット帽、甲子太歳金辨大将軍のアップリケのついたバッグなどなど……。これらはなんと奥様である小独観子さんの手づくりだというから恐れ入る。
独観子さんによる不思議な可愛らしさを持った作品たち。色々な国を巡り、色々な場所を見て、色々なものからインスピレーションを受けた作品は、一つとして同じものがない。細部にまで装飾が施されており、神々しさとキュートさが同居している。
かなり手の込んだニット帽子。よっぽど時間がかかるのだろうと思いきや、一つ作るのにかかる所要時間は、一日~一日半くらいとのこと! そんな短時間でこんなに細かいデザインを編めるなんてすごい……。模様や色は作りながら考えるそう。
目から手Tシャツも数量限定で発売されていた。なんと、プリントではなく布が縫い付けてある! 独観子さん曰く「プリントが良く分からないから、縫い付けちゃえって(笑)」
某エレクトリカルなパレードを彷彿とさせるLED後光なども、会場のサイケデリックさを盛り上げるのに一役買っていた。ミャンマーで購入したというLEDライト。あちらでは仏像の後光を表現するために大活躍しているらしい。