撮影:稲澤 朝博

都内2館の公開からスタートしながら、興収31億円超の大ヒットを記録した“カメ止め”

都内2館の公開からスタートしながら、国内外の映画祭での評判やSNSなどによる口コミでその面白さが拡散し、日本全国47都道府県で感染上映、興収31億円超の大ヒットを記録して社会現象を巻き起こした『カメラを止めるな!』。

現在も全国での上映が続き、未だ勢いが衰えないそんな平成最後の超話題作のBlu-rayとDVDか発売されたのを記念して、メガホンをとった上田信一郎監督を改めて直撃!

12月5日(水) 『カメラを止めるな!』Blu-ray&DVD発売!『お米とおっぱい。』DVD同日発売!

現在の心境から、DVDで観直す“カメ止め”の楽しみ方、同時リリースされる初期の長編『お米とおっぱい。』(11)の創作秘話、今後のスタンスまでたっぷり話してもらいました。

『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール

超話題作を34歳で産み落とした上田慎一郎監督とはどんなクリエイターなのか?

『カメラを止めるな!』は映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として制作されたオリジナルムービー。

37分ワンシーンワンカットで突き進む前半の“ゾンビ映画”と、それを撮影しているスタッフやキャストの奮闘を描く後半の人間ドラマの2部構成からなる作品で、そのトリッキーな内容と面白さが受けて全国規模で“感染者”を増殖中!

果たして、この超話題作を34歳で産み落とした上田慎一郎監督とはどんなクリエイターなのか? “カメ止め”の面白さや魅力を振り返りながら、その人物像に迫ってみました。

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  • 『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール
  • 『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール
  • 『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール
  • 『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール
  • 『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール

――映画がもはやひとり歩きしている感じですけど、ここまで大ヒットしたいまの状況をどのように受け止められていますか?

受け止める時間がないという感じです(笑)。

公開からもう5ヶ月経ってますけど、未だに『カメラを止めるな!』が落ち着かなくて、目の前のことに当たるのに精一杯の日々が続いているので、状況を受け止めたり、自分の心境を落ち着いて考える暇がないというのが正直なところですね。

――世界が一変してしまった感じですね。

めちゃくちゃ忙しくなりましたけど、僕自身の生活はそんなに大きく変わってなくて。

半年前と同じチノパンを履き、同じような靴を履きながら生きているので、変わるとしたら、これからなのかもしれないです。

『カメラを止めるな!』作っているときにはどこを目指していたのか?

――1年前に『カメラを止めるな!』を撮っているときも、ただ、映画作りが楽しめればいいやという気持ちでやっていたわけではないと思います。作っているときには何を、どこを目指していましたか?

『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール

とにかく面白いものを作ろうと思っていました。

“カメ止め”は久しぶりの長編映画だったんですけど、新人の監督と新人の俳優がワークショップを経て1本の映画を作り、6日間だけイベント上映をするという企画の中の1本だったんですよね。

評判がよかったら劇場公開する可能性もあるという話でしたから、もちろん劇場公開を目指せるものにはしようと思っていましたし、インディーズ映画の世界でヒットをさせて、次に繋がるようにはしたいと考えていました。

――当時の目標は、インディーズ映画の世界でのヒットだったわけですね。

そうです。インディーズ映画の世界でヒットして、誰かしら、何かしらの声をいただいて次のステージに行けたらいいなと思っていたので、都内2館での3週間公開が決まってからは5000人を何とか動員しようという目標を立てました。

――それが現在までに222万人を動員、興収31億円突破というインディーズ映画の枠に収まらない大ヒットを記録したのは、観客を楽しませることを最優先した“カメ止め”のエンタテインメント精神が勝因だったような気がします。

しかも、全編ワンシーンワンカットのゾンビ映画だけでも、撮影現場のバックステージものだけでもそれぞれ成り立つのに、それをドッキングさせていて、そのお得感も大ヒットに拍車をかけたと思います。

『カメラを止めるな!』© ENBU ゼミナール

バックステージものをやりたい俺がいたし、『運命じゃない人』(05/監督:内田けんじ)や『パルプ・フィクション』(94/監督:クエンティン・タランティーノ)のような非直線形の動いていく映画が好きだったり、特にB級のゾンビ映画やホラー映画好きな自分もいて。

それらをすべてひとつの箱に収めたような映画を作れないかな、という様々な想いから書いたのが“カメ止め”だったんです。

――1カットの長回しもやりたかったことのひとつだったわけですね。

そうですね。