皆さんはご覧になっていましたか? 話題になったドキュメンタリードラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」。
若手俳優の中でも圧倒的な存在感を放つ山田孝之さんが、映画監督・山下敦弘さんが中学生時代から温めていたという作品「己斬り」の撮影中に、どうしても演技が止まってしまうという事態に陥り、結局「己斬り」は制作中止の憂き目に遭います。10代から役者としての人生を続けてきた山田さんが、“演じる自分”と“演じられる役柄”の間の境がわからなくなり、自分自身を見失ってしまうんです。
そんなある日、山下監督が山田さんの自室に呼び出されます。そして「この漫画が面白いんです」と見せられたのが、清野とおる先生によるドキュメンタリーエッセイ漫画「東京都北区赤羽」シリーズ。漫画の登場人物である赤羽の住人達に感銘を受けたという山田さんは、突如「赤羽に行こうと思う。赤羽で本当の自分に出会える気がする」と言い出して…。
2014年の夏、山田孝之さんが赤羽の町で過ごした記録は、当初は映画化の予定だったそうです。しかし「2時間ではもったいない」ということになり、30分×12回のTVシリーズとして放送されることに。山下監督と並んで監督を務めた松江哲明監督によれば「山田孝之の崩壊と再生を描く」ドキュメンタリードラマとなりました。
この作品は各地で「どこまでが本当なのか?」「山田孝之さんは大丈夫なのか?」「これはいったい何を見ているんだ??」と大きな反響を呼びました。本放送前から原作シリーズを読んでいた自分としても「あの作品をどうやって映像化するんだ?!」と興味津々。そして毎週見ているうちに、一般的な漫画の映像化とは全く違う、虚実がないまぜになった展開に圧倒されました。いや、本当に不思議な番組だったんです。
今回は、番組のDVD-BOX発売を記念したスペシャルイベントを詳細レポートいたします。DVD-BOX内の応募券を送った方から抽選で招待、しかも平日夜に開催というハードルの高いイベントでありながら、会場の恵比寿リキッドルームは満員御礼! そして赤羽が恵比寿の町を浸食するような抱腹絶倒のイベントで、大いに盛り上がりました。
番組も原作も最高ですから、イベントも最高に楽しくカオス! いきおい、かなりの長編レポートになってしまったことをお許しください…。ではでは、いってみましょう!
「生きる意味をください 死にゆく意味をください」
当日、恵比寿リキッドルーム前には「同行者募集中です!」のカードを持った方がちらほら。惜しくも当選ならなかった方々でしょうか、番組の愛されっぷりが伝わってきます。そして、イベント開始前からリキッドルーム内もすごい熱気。ドラマのイベントと言うよりも、音楽イベントのような雰囲気です。
物販コーナーでは原作漫画シリーズを全巻一気買いすると、清野先生の生原稿がもらえるという企画も! ここで全巻そろえた方もいらっしゃったんでしょうか? 早くも場内は期待でいっぱいになっています。
番組ロゴが浮かび上がり、照明が暗転。ステージには、赤羽のスーザン・ボイルとも赤羽のポール・ボッツとも呼ばれるシンガーソングライター、斉藤竜明さんが登場!
斎藤さんが歌うのは、番組内でも歌われた『永遠の、少年』。斎藤さんのルックスはかなり特徴的なんですが、そのインパクトを上回る美しいメロディーと歌声に心が震えます。この歌の「生きる意味をください 死にゆく意味をください」というフレーズは、この番組の大きなテーマと深いところで繋がっているいるように感じました。
オープニング映像の後は、MCとしてダイノジ大谷さんが登場。番組の大ファンであることをツイートしていたことから、大谷さんに今回のオファーが来たとのこと。今回は番組ファンの代表としてステージ上に立つ大谷さん、「楽屋が魑魅魍魎でしたよ…」と発言。この日、大谷さんの進行なくしてはあのカオスなイベントは成立しなかったかもしれませんね。