EOS 5D Mark III + EF24-105L IS USM

キヤノンは、ハイアマチュア向けの35mmフルサイズセンサ搭載デジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark III」を、3月下旬に発売する。価格はオープンで、「キヤノンオンラインショップ」での価格は、ボディのみが35万8000円、ボディと交換レンズ「EF24-105L IS USM」をセットにしたレンズキットが45万8000円。

撮像素子に、35mmフルサイズの約2230万画素CMOSセンサを搭載。フォトダイオード構造の改良や、マイクロレンズのギャップレス化などの改善によって、感度向上と低ノイズを実現した。映像エンジンには従来の「DIGIC 4」の約17倍の処理能力をもつ「DIGIC 5+」を採用し、高画質と高性能を両立。CMOSセンサとの連携によって、高精細で広いダイナミックレンジを達成している。

常用設定可能なISO感度は、これまでのISO100~6400から、ISO100~25600(動画撮影時はISO100~12800)に拡大。夜景や暗いシーンでのポートレート撮影時でも、ノイズを抑えた撮影ができる。

レンズの光学特性が原因の周辺光量不足だけでなく、色収差もカメラ側で補正。歪曲収差は、RAW現像時のみ補正できる。「EOS 7D」に搭載した63分割デュアルレイヤー測光センサを備えた「iFCL(intelligence Auto Focus Color Luminance)」測光システムの搭載で、露出安定性の向上に成功している。

動画撮影は、従来機種と比較して偽色やモアレの発生を大幅に抑え、低ノイズで高画質な撮影ができる。また、従来機種では非対応だった、HD(解像度1280×720)・60pの記録に対応する。圧縮方法は、撮影後の編集のしやすさを優先したALL-Iと、圧縮率が高くファイル容量の小さいIPBの2種類が選択できる。

Final Cut Pro 7/6の「切り出しと転送(Log & Transfer)」用プラグイン「EOS MOVIE Plugin-E1 for Final Cut Pro」は、Ver.1.3にバージョンアップすることで対応。今年上半期中にリリース予定。

また、付属するRAW現像ソフト「Digital Photo Professional Ver3.11」のデジタルレンズオプティマイザで、光学的な各種の収差や回折、CMOSセンサ上のローパスフィルタによる影響などに対して、理想的な光学特性となるよう画像処理することで、画像中心部だけでなく、画像周辺部の画質を向上している。

AFセンサには、AFシステムに最上位モデル「EOS-1D X」(4月発売予定)と同一の、クロスセンサ41点を含む総測距点数61点の「61点高密度レティクルAF」を搭載。さまざまな構図への対応力や動く被写体の捕捉率が向上し、とりわけポートレートや動体撮影などで威力を発揮する。また、センサは全点千鳥配列で、被写体捕捉と合焦精度を向上した。

低輝度限界は、従来機種と比較して中央測距点で約1.5段、周辺で約0.5段向上。暗いシーンでもすばやく被写体を検出し、高い合焦精度を実現する。また、被写体や撮影スタイルに合わせて、スポット1点AF、ゾーンAFなどを設定できる測距点選択モードを備える。

連写性能は、読出し速度が従来の4chから8chに向上したCMOSセンサと、「DIGIC 5+」の高速画像処理によって、最高で1秒あたり6コマの高速連写に対応。連写性能の向上に伴い、メインミラー、サブミラーにミラーバウンド防止機構を採用し、大型ミラーの駆動を高速化・安定化した。レリーズタイムラグは、「EOS 7D」と同等の最速約0.059秒。

ファインダーは、従来機種より体積比で約13%大型化したガラスペンタプリズムや高精度のレンズ4枚で構成する接眼光学系によって、視野率100%、倍率約0.71倍、アイポイント約21mmを実現。また、透過型ファインダー内液晶によって、測距点の追従表示や、電子水準器表示ができるインテリジェントビューファインダーを採用している。

明暗差の大きいシーンでも白飛びや黒つぶれを抑えるハイダイナミックレンジモードを搭載。さまざまな画像処理と併用することで、絵画調標準、グラフィック調、油彩調、ビンテージ調、ナチュラルのユニークな映像表現ができる。

多重露出機能は、シーンに合わせて機能・操作優先、連続撮影優先の2種類のモードをもつ。制御方法は、加算、加算平均、比較(明)、比較(暗)の4種類。

画像再生機能では、二つの画像を同時に表示する2画面比較再生機能を搭載する。全画面での比較では構図や明るさ、色合いを、拡大画面での比較ではピントやブレ、ノイズ感などをチェックできる。

ピクチャースタイルや多重露出、ハイダイナミックレンジモードなどの主要な作画機能を1回の操作で呼び出せる「クリエイティブフォトボタン」を搭載する。

液晶画面には、見やすさと耐久性を追求した強化ガラス採用の3.2型ワイド「クリアビュー液晶II」を搭載。マグネシウム合金製ボディや、15万回の作動試験をクリアしたシャッターユニット、従来機種から強化した防塵・防滴構造によって、高い堅牢性を実現している。

CFカード(タイプI)とSDカードに対応するデュアルカードスロットを搭載。対応メディアは、CFカード(タイプI準拠、UDMAモード7対応)、SDXC/SDHC/SDカード。

このほか、使用頻度の高い機能の操作ボタンを操作しやすい位置に割り当てる操作ボタンカスタマイズ機能を搭載。撮影時だけでなく、持ち運び時も考慮したエルゴノミック設計グリップを採用している。

対応レンズマウントは、キヤノンEFマウント。ボディのサイズは幅152.0×高さ116.4×奥行き76.4mmで、重さは約950g。

専用アクセサリとして、カメラ本体同様、防塵・防滴構造のマグネシウム合金製「バッテリーグリップ BG-E11」を4月下旬に発売する。ホールド性を追求し、長時間撮影でも疲れにくい形状で、縦位置での撮影でも測距点を直感的に選べるマルチコントローラーや、操作ボタンカスタマイズ機能に対応する「M-Fn(マルチファンクション)」ボタンを搭載。電源は、「バッテリーパック LP-E6」×2個、または単3形乾電池×6本。税別価格は2万9000円。