ディープなところまで掘り下げる! 劇団ハーベストの世界観
高橋「今回(『肉体改造クラブ』)も、家庭環境のシーンがあるんですよ。そういうシーンに、重きを置きたいと思っているんです。女子高生の視点も、大人からの視点も、私たちの視点もどちらも取り入れられるな、と思って」
加藤「悪を作りたくない。それぞれが必死に考えて、相手のことを想いやっているってことを表現したかったんです。どっちが悪いわけじゃないよ!っていうのを、今の高校生とか、同世代にも伝えたかったんです」
――子どもからの視点だけではなく、別の視点も取り入れている、と。
加藤「大人を敵にはしたくなかったんです。私たちは中間の存在として、大人の視点も子どもの視点もどっちも捉えられる作品にしようと考えました。ディスカッションしてる時も、親に対しての気持ちとか、それぞれ違うんですよ。子どもから見たら『何も見てないじゃん!』って思っても、大人からしたら、『必死に見ているんだよ』っていう気持ちがあったりして」
――かなり、ご自分たちでの話し合いを深めているんですね。
宮武「ディスカッションに使う量が大分変わりましたね。ディスカッションしていくと、ちょっとずつみんなの経験が語られるんですよ。『お母さんにこう言われてこう思ったよ』とか。そういうのを延々と積み重ねていったんです。それぞれ劇団員の事も知れる、っていう」
葛岡「いろいろ知ると、自分のことも解るんです。そして自分のことをいろいろ話すと、もっと自分のことについても気づける」
川畑「本当に、『DOLL』はほとんどディスカッションだったね。」
高橋「ディスカッションが多いかもね。美術ひとつにしても、みんなで話し合って」
広瀬「劇場で、水を使いたいって言いだしたりしてね(笑)」
加藤「実際に使ったストリングスカーテンは、美術の方のアトリエに行ったら、ちょうどあったんです。そこで一目惚れして」
――美術までご自分たちで関わって形にしているというのは、今までとは違いますね。
加藤「以前は、『こういうセットになりました』って言われて『わーすごい!』という感じでした。受け身でしかなかったのが、劇団としてしっかり考える、という第一歩になったのかな」
篠崎「旗揚げの頃はやってなかったですね。小道具の作成とか…。私は、旗揚げから1年で一度出て、おととしの12月に劇団に復帰したので、割と客観的に見ているところがあるんです」
――復帰した篠崎さんから見て、現在の劇団ハーベストは、いかがですか?
篠崎「旗揚げの頃から比べると、お互いにいろいろと言えるようになったように思います。分からないときとか、こうじゃない?とか言えるようになった。それは、ディスカッションを多くしてきたからかも。そこが劇団ハーベストの良いところですね。みんな尊敬してます」
――皆さんが、自発的に公演に関わっているんですね。
宮武「みんなが、自分の役だけじゃなくて、他の役を理解しようとしている。そういう会話が前よりできてるよね」
高橋「今回(『肉体改造クラブ・女子高生版』)のディスカッションもそうなんです。ゲストの皆さんにいろいろディープなところまでうかがって、あ、こんな生活だったんだ!とか、意外なことまで。そういうことを知ったからこそ、仲が良くなるし」
宮武「今回は、『DOLL』ありきの作品だよね」
高橋「うん、『DOLL』やってなかったら、選んでないよね」
全員「うんうん…。」
――前作『DOLL』は、新たな第一歩を踏み出す作品になりました。今作『肉体改造クラブ・女子高生版』はどんな作品になりそうですか?
加藤「そうですね…。『DOLL』は、劇団員だけの公演でした。今回は、それを広げる作品ですね。ゲストさんを多く招いて、また、外に広げるっていう。これまででいちばんゲストさんが多いのかな?」
望月「そうだね。それに、今回のゲストさんは年下が多いもんね」
宮武「数えたら、5人高校生がいる! なんだか稽古場が明るいよね。懐かしい感じ…。去年までは、まだ高校生だったんですけどね(笑)」
――高橋さんは、今作ゲスト出演される北原帆夏さんと舞台『ANSWER?』で共演したばかりですね。
高橋「今回は『ANSWER?』とはまた違う絡み方になりますね。『ANSWER?』では私が高1で、強さとか、言いたいことをちゃんと言える子の役でした。勢いがあると乗るねーって言われました(笑)」
――今作も期待しています! さて、最後に、劇団ハーベストとしてこれからどんな作品に挑戦したいですか?
望月「やりたい作品がずーっとあるんですよ。今回の作品決めの時、客演の舞台で、話し合いに出られなかったんです。連絡が来て、『またダメだったー』と思ったんですよね(笑)」
――そうなんですね!
宮武「そうなんです! 絶対いつかやるよね」
望月「やるやる! やります!」
――今回はあえて作品名を聞きませんね(笑)。もしかすると、次回は望月さんがずっと押していた作品になるかも、と。
高橋「でも、また違うものになるかもね(笑)」
望月「答え合わせしたら、違います!となるかもしれないですね(笑)」
――それも含めて、楽しみにしています! 今回はありがとうございました!
全員「ありがとうございました!」
公演詳細情報
第29回 下北沢演劇祭参加作品
劇団ハーベスト 第15回公演『肉体改造クラブ・女子高生版』
【戯曲】古城十忍
【演出】中村公平×劇団ハーベスト
【出演】千綿勇平 (劇団番町ボーイズ☆) 比嘉奈菜子 (ex.アイドルネッサンス) 北原帆夏 たけだまりこ 戸谷菊之介 門脇咲季 小野由香 (東京マハロ) 瀬尾タクヤ
篠崎新菜 川畑光瑠 望月瑠菜 宮武佳央 高橋紗良 (劇団ハーベスト)
黒澤琉衣 谷本魁渡 高山葵 富田保乃歌
【会場】下北沢 小劇場B1
【日程】2019年2月18日(月)~2月24日(日)
【スタッフ】 戯曲:古城十忍 演出:中村公平×劇団ハーベスト
舞台監督:小島とら 舞台美術:仁平祐也 照明:池田圭子 音響:ORANGE COYOTE
音楽:広瀬咲楽・岩崎健一郎 振付:菊地理恵 衣装:阿部美千代 演出助手:平井由紀
宣伝美術:細見龍司 宣伝写真:是枝右恭 宣伝スタイリスト:岡部みな子 宣伝ヘアメイク:大野真理江・高橋純子
協力:MIHYプロデュース、ファンファーレ、劇団レトロノート、劇団ワンツーワークス、e-project
詳しくは公式サイトにてご確認ください。