力強く勇壮なメロディーが活力を与えてくれる!
歌詞の次は、曲に注目してみたいと思います。特撮ソングの楽曲面において、大きな特徴の一つとなっているのが、その曲調の力強さと勇壮さです。
特撮作品主題歌特有のパワフルなメロディーラインは、その歌詞世界と相まって、聴く人に強いパワーを与えてくれます。
昭和の特撮黄金時代における渡辺宙明さんや菊池俊輔さん、伊福部昭さんのような"巨匠"と呼ぶべき大作曲家さん。そして、平成に入ってからも高取ヒデアキさんといった優れたアーティストが登場し、特撮作品の世界で主題歌や劇伴をクリエイトしているのです。
そして、そうした作曲家さんによって生み出された猛々しいメロディーを、水木一郎さんや影山ヒロノブさん、串田アキラさんのような、これまた熱い歌声を持つシンガーが歌にする……そこから生み出されるエネルギーは、疲れた心身を一気にリフレッシュしてくれます。
R&B的なメロウな曲調が重要視される現代的なポップ・ミュージックとはまた違った魅力を有した"ポップ"がそこにはあります。聴くだけでテンションが上がり、心を鼓舞してくれる。そんなガッツに満ちたメロディーは、特撮ソングの大きな聴きどころです!
また、特撮"ソング"だけでなく特撮作品の劇伴にも、勇壮なメロディーによる素晴らしい楽曲が多数存在しています。こちらもチェックしていただいて、出社前や通勤途中に聴いていただければ、仕事に対するヤル気もアップすること間違いなしです!
自分なんかは、仕事に行く前は伊福部昭さんによる平成版『ゴジラvs.メカゴジラ』のメインテーマを聴いて気合を入れています!
多様な音楽ジャンルにアプローチした音楽性が凄い!
特撮ヒーローの主題歌は、その音楽性が非常に多様性に富んでいることを皆さんはご存知でしょうか? 実は、様々な音楽ジャンルを取り込んだ"攻めた"楽曲が多いのです!
特に、東映が誇る長寿シリーズである戦隊ヒーローの主題歌は、その曲調も実にバラエティー豊か。ちょっと一例をご紹介させていただきます。
この度、放映十周年を記念してオリジナルの新作Vシネマが制作される『特捜戦隊デカレンジャー』のエンディング曲として使用されていた『ミッドナイトデカレンジャー』は、ホーンセクションの入ったロカビリー調の楽曲に御大、ささきいさおさんの歌声が乗るアダルティーなナンバー。
また、『烈車戦隊トッキュウ ジャー』の主題歌ではメロコアやスカコアといったパンキッシュな音楽がヒーロー番組の主題歌に巧みに取り込まれていました。
中には、ラップ調のヴォーカルとサンプリング的なサウンドを用いたヒップホップ・ナンバー『忍者戦隊カクレンジャー』エンディング曲の『ニンジャ! 摩天楼キッズ』といった異色の楽曲も。
『忍者戦隊カクレンジャー』が放送をスタートしたのが1994年。日本語によるヒップホップ楽曲で初のミリオンセールスを記録したEAST END×YURIの『DA.YO.NE』の大ヒットも同じく94年のトピックなので、「ニンジャ! 摩天楼キッズ」は、日本のヒップホップにおける歴史においても初期の楽曲であり、かなり先鋭的な特撮ソングだったと言えます。
このように、特撮ソングでは、様々な音楽ジャンルとのミクスチャーとでも言うべき多彩なサウンドを聴くことができます。この辺りは、アニメソングや声優ソング、アイドルソングにも通じる音楽的魅力。
音楽が好きな方にも、そのユニークな音の世界に是非とも触れて欲しい……と、特撮ヒーローもロックミュージックも両方ともに大好きな自分は願って止みません。色々な音を通過してきた大人だからこそ気付く、気付かされるおもしろさが特撮ソングにはあるのです。