『母と暮せば』の音楽を担当する坂本龍一

 山田洋次監督最新作『母と暮せば』の音楽を坂本龍一が務めることが分かった。昨年7月に中咽頭がんを公表し、療養していた坂本にとっては復帰作となり、山田監督とは初タッグを組むことになる。

 本作は、故・井上ひさし氏の遺志を継いで山田監督がメガホンを執り、長崎に原爆が落とされてから3年後を舞台に、原爆で亡くなった息子の亡霊(二宮和也)と母親(吉永小百合)との親子愛を中心に描く。

 企画が立ち上がってすぐに山田監督から坂本の名前が挙がり、オファーしたところ、坂本もすぐさま快諾して2人の初タッグが実現した。山田監督は「坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした。僕の頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています」と期待を寄せた。

 吉永は、ライフワークにしている原爆詩の朗読で坂本がピアノ伴奏を担当するなど親交があり、昨年4月の坂本のコンサートを山田監督と訪れた際に2人を引き合わせたという。吉永は「坂本さんが『母と暮せば』の音楽を作ってくださることになって、うれしくてうれしくて舞い上がっています」と喜んだ。

 山田監督の『男はつらいよ』シリーズの大ファンだという坂本は「『寅さん』映画は年を取るほどに味わい深く感じられます。その山田洋次監督から次回作の音楽を頼まれました。しかも吉永小百合さんが同席しています。この2人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか」と快諾の理由を明かした。

 また「核のない世界を望んでいる僕としては、これはやるしかありません。このような大作が病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、僕は本当に幸せ者です」と喜びを語った。

 映画は12月12日から全国ロードショー。