高橋先生、Q&Aタイム
――では次に、現役で子育てをしているママたちからの質問を、高橋先生にぶつけさせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
高橋「さっきチラ見したら、難しい質問ばかりでした(笑)」
――す、すみません!(笑)…ではさっそく、1つ目の質問から。
Q1 「保育園で他の子とからまないという指摘を受けた5歳女児。マイペースすぎないか、心配です」
A.それは個性に過ぎないんで大丈夫です。
高橋「マイペースというのが何を指しているかにもよるのですが、よく保育園などでは、“集団の指示が通らない子”がマイペースと言われがちなんですよね。
みんながわーっと何かを始めるとき、ひとりでポツーンとしている子っていますよね。そういうのをたぶんマイペースって言っていると思うんですが、それは個性に過ぎないんで大丈夫です。
全員が同じ指示に従って動くというのは、個性のない状態ですよね。子どもたちはみな素晴らしい個性を持っているわけですが、集団行動では個性のある子たちが一時的に個性のない行動をしているだけです。
それから外れたからといって、悪い意味のマイペースということにはならないと思います。
これが、たとえば指示している言葉の意味がまったくわからなくてついていけないとなると、また話は別ですが。
自分の子どものことはおかあさんが一番知っているわけですから、日常生活でおかあさんにとっては違和感がないのに、保育園や幼稚園に行ったとたんに“あなたのお子さんはちょっと変わっています”と言われるというケースは、ほぼほぼ大丈夫です。
あとよくあるのは、おかあさんかおとうさんもマイペースってケースですね(笑)」
――それが遺伝ってことですね。
高橋「遺伝です。いい遺伝ですよ。個性は遺伝した方がいいじゃないですか」
Q2 「子どもが“ママだと泣く”と夫に言われるのがつらいのですが」
A.ママと子どもの距離が近いからこそ、ママの前だと泣きやすいんですね
高橋「泣くって大事なことですよね。大人になると封印しますけど、泣くという感情は大笑いするよりももっと純粋で、とめがたい感情じゃないですか。子どもが泣くってそれほど悪いことじゃないんじゃないでしょうかね」
――それが、いまのママたちは子どもが泣くことがこわいみたいなんです。こわいというか、恐れているというか。
高橋「子どもがなぜ泣くかというと、言葉でうまく説明できないからなんですよね。
うわーって泣くじゃないですか。大人ではああはできないですよね。怒りとかさびしさとか、泣くには泣く意味があって、それは感情のいちばん純粋な表現の仕方なんですよね。
子どもにとってママの言葉はいちばんドーンとくるから、うわーって泣くんじゃないですか。パパはちょうどいい距離なんでしょうね」
――なるほど。ではまず、泣くことに対する認識を変えたらいいのかもしれないですね。泣くことは決して悪いことではない。ママと子どもの距離が近いからこそ、ママの前だと泣きやすいんですね。
高橋「自分の前で人が泣いてくれるのって、子どもじゃなくても、最高のことじゃないですか」
――信頼がないとできないことですよね。
Q3 「小学校3年生の男の子。外でのことを聞いても何も話さない。これから思春期になるともっと話さなくなるのか、心配です」
A.お子さんの行動は生物学的に正しいんです。
高橋「それはね、まず“なにがあったの?”って聞かれても、その子には特段なにもないんですよ(笑) 。
たとえば今日の給食はなんだったか、と聞かれたら答えられますけど、“今日、どうだったか”と聞かれても、答えようがないんですよ」
――ママが答えにくい質問をしてしまっている可能性がある、と。
高橋「もっと小さいときは、いろんなことが全部新鮮だから、おかあさんにお話したいことがいっぱいあったと思うんですよね。
それが小3くらいになると、おかあさんに話したくないわけではなく、特別におかあさんに話すようなことが起こらないから、というのがひとつの理由だと思います。
それから、年齢差はありますが、親子関係が一見疎遠になるときってありますよね。女の子であれば、男親を嫌いになったり。
こういったことは、近親相姦をふせぐためと言われています。
また、子どもはそれぞれ自分の性と同じ親をロールモデルとして育つようになっています。
どちらかというと、男の子はおとうさん、女の子はおかあさんと仲良くなるようにできているので、このお子さんの行動は生物学的に正しいんです」
――自然なことで、成長の一環なのですね。年齢は何歳くらいからにあたるのでしょうか。
高橋「だいたい思春期の前あたり、小学校高学年くらいからですね」