少し前置きが長くなりましたが、雑誌って、「こんな人が読んでいそう」というイメージがありますよね。その雑誌のイメージを通して、読んでいる人の雰囲気が想像できるのです。
そんな雑誌と人格に注目し、独自の視点で分析をしているのが、漫画家の能町みね子さん。自著『雑誌の人格』は、雑誌『装苑』での連載が書籍化したもので、あの素敵な雑誌も、イカした雑誌も本当はこんな人格だったと、約40もの雑誌の人格を紹介しています。これが大変面白いので、本日はその一部を紹介させてもらいます。
例えば、女性誌の『non-no』は、「自信のなさすら奥ゆかしさとして長所に転じさせる力を持った『女性性』の強いモテる女子」と表現されています。
知名度の高い同雑誌ですが、ファッションの傾向としては特に偏りがなく、無難なものとなっています。逆にそれが多くの女性に刺さるようで、誌面には多くのアイテムが並び、カタログのように楽しむことができる一冊となっています。
『non-no』読者の特徴としては、恋愛面でもそこまで活発ではなく、むしろ古風な考え方を持っているとのこと。専業主婦でも良いし、普通にイケメンが好きだったりします。
いわゆる普通の女性。そんな彼女たちがもつ武器は「女性性」だそう。
そして、それが希薄なところがまた良く、恋愛が苦手な男子大学生が想像する「身近な女子」を具現化したものに近いと、同書では紹介されています。何となくイメージが沸きますよね。
他にも雑誌『JJ』は、「『モテ』も『コンサバ』も超えて仕事(ファッション関係?)に生きる、野心と中身のある女子。」と紹介され、『FRAU』は、「野心はさほどなく、手の届くところにある贅沢を享受するのがうまい女子たち。」と。
また、『VERY』は、「家族という生活基盤を大事にする『ママ』文化の中心的存在。セレブに憧れつつ、下世話さも捨てきれない。」。
『美STORY』は、「あきまで生活を第一にしつつ、『美魔女』に少しは近づこうと現実的に前向き生きる女の人。」。『エココロ』は、「『よく選択して暮らす』という価値観を土台とし、豊かで快適な、ある種の『社交界』を楽しむ大人の女性」。
あなたの愛読書はこれらに含まれていましたか? 雑誌を通して人格をイメージするのは、なかなか妄想癖のある方には楽しみな遊び方では?
ちなみに男性誌の『LEON』は、「仕事はできるし金もある。そんな今だからこそどうにか女にモテたい、愛すべき中年」と紹介されています。
なんだか自分とは180度違うタイプですけど、この雑誌を選んでくれた美容師さんに感謝!!
【書籍情報】『雑誌の人格』能町みね子著 文化出版局